三菱重工グループの三菱造船株式会社は7月4日、太平洋フェリー株式会社向けに建造中である大型フェリーの命名・進水式を行なった。
10%の省エネルギー化。11タイプの多彩な客室構成!
進水式を行なった本船は、名古屋~仙台~苫小牧 各港間の定期航路に就航する大型フェリー3隻のうち「きたかみ」の代替となるもので、大部屋をなくしてプライバシーの確保と機能性向上を実現し、在来船名を引き継ぎ「きたかみ」と名付けらた。2019年1月の完成・引渡し後は、名古屋港に向かう予定だ。
三菱重工業 下関造船所江浦工場で行なわれた式典には、関係者多数が出席。太平洋フェリーの志甫 裕社長による命名に続いて、寄港地ゆかりの女性3人による支綱切断が行なわれた。
本船は、2017年9月7日から建造していたもの。
長さ192.5m、幅27m、総トン数約1万4,000トンで、8階構造の船内は、1階から5階が車両甲板でトラック166台、乗用車146台を積載できる。また、6階から7階は定員535人の旅客フロアで、客室、レストラン、展望大浴場などで構成。最上階の8階は、操舵室(ブリッジ)と乗組員用スペースとなっている。太平洋フェリー向けの新船建造は、2011年3月に同航路に就航した「いしかり」以来8年ぶりで、同社向け累計では6隻目となる。
デザインコンセプトは「SPACE TRAVEL(スペース トラベル)」で、夕暮れに乗船し夜間の航海となる運航ダイヤの特性を踏まえ、星空の旅を連想させるデザイン設計となっている。またコンパクトでありながらも快適で楽しさの詰まった空間づくりを目指し、11タイプの多様な客室構成とし、個室以外は大部屋に代えてすべてカプセル寝台を採用した。
環境面への配慮では、新型最適船型の採用などにより、約10%の省エネルギーを実現。建造にあたっては、経済産業省および国土交通省の平成29年度「トラック・船舶等の運輸部門における省エネルギー対策補助金(内航船の運航効率化実証事業(内航船の総合的な運航効率化措置実証事業))」の補助を受けている。
新しいきたかみは今後、艤装岸壁に係留され内装等の工事を経て、2019年1月20日の引渡しを予定。名古屋、横浜、仙台、苫小牧西港での内覧会の後、同月25日に苫小牧港から仙台港に向かう定期航路に就くことになっている。