ミシュランは、2018年5月30日〜6月1日にカナダ・モントリオールで開催した「MOVIN'ON 2018」において、タイヤメーカーとして世界の環境問題に取り組む長期的戦略を発表した。30年後の2048年までに、タイヤのリサイクル率100%、およびタイヤ原材料の80%を持続可能な物質に置き換える試みを進める。
タイヤのリサイクル率を100%に
ミシュランはタイヤメーカーとして、廃棄タイヤを削減、再利用する取り組みを進める。今日、世界全体のタイヤの回収率は70%、リサイクル率は平均50%(燃料として使用は含まず)。「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD:World Business Council for Sustainable Development)」のデータでは、2018年には世界中で10億本の使用済みタイヤ(約2,500万トン)が発生すると言われている。
タイヤ原料の80%が持続可能な物質に置き換わり、タイヤの100%がリサイクル可能となった時、その潜在的利益と節減効果は以下と同等と試算されている。
・年間3,300万バレルの原油の節約(超大型タンカー16.5隻分)または電力5万4千GWh相当
・平均的なセダン(8 Lの燃料で100 km走行)が年間650億 km走行できる燃料
・ヨーロッパのすべての四輪車が225 km(総計走行距離2億9,100万 km)走行できる、または全世界のすべての四輪車(12億台と推定)が54 km走行できる燃料
目標実現のために:リーハイ・テクノロジーの買収について
ミシュランは、持続可能なモビリティ社会を促進するための革新的なソリューションの開発、およびタイヤ性能改善の継続的な取り組みを進めている。その一環として、2017年10月に米国高性能微粒子ゴム粉末(MRP)の分野の大手製造企業であるリーハイ・テクノロジー社を買収した。
MRPは、原油やゴムに代わる原材料として、ハイパフォーマンスタイヤ、プラスチック、消費財、コーティング剤、シール材、建設資材、アスファルトなど、産業および消費者向け用途で広範囲に利用されている。MRPは原材料コストを最大50%低減し、さまざまな市場でその性能を十二分に発揮する持続可能な原材料。リーハイ・テクノロジー社は、使用済みタイヤから微細粉末を製造する高度な技術を持つMRP市場におけるリーダーとして、持続可能性を事業の柱にしている。
リーハイ・テクノロジーの買収は、先端技術を使ったリサイクル技術に投資し、ハイテク原材料の専門技術を活用していくミシュランの戦略的決意の表れだ。自動車以外のさまざまな産業分野においても、使用済みタイヤから得られる革新的なリサイクル原材料の活用を推進していく。