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NTNは、既存の水路に置くだけで発電し、発電した電力を売電することを可能にする「系統連系用NTNマイクロ水車」を開発した。これにより小型の水力発電装置では従来、バッテリに充電する目的が主な用途だったが、新たな活用が可能になった。
「系統連系用NTNマイクロ水車」は、発電機で発電した交流電力をコントローラで直流電力に変換、その後パワーコンディショナによって交流電力に変換し、系統に送電することで売電する。
NTNマイクロ水車は発電電力0.4kW、1kW、2kW用があり、これら小型の水力発電装置で系統連系システムを装備したものは市場になかった。「系統連系用NTNマイクロ水車」は発電電力を最大化する最大電力点追随制御(Maximum Power Point Tracking:MPPT)を標準装備する。MPPTの標準搭載は発電電力2kW以下の小水力発電装置では業界初。
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一般的に水力発電装置の発電制御方法は、(1) 数値テーブル方式、(2) MPPT 方式がある。(1) 数値テーブル方式は、水路の流量が多い時に最大発電電力になる翼の回転数などの数値テーブルを1種類設定し、発電電力を制御する。流量が少ない場合も数値テーブルは固定のため、その期間の発電電力は最大化されない。(図 1)。
それに対し(2) MPPT 方式は、水路の流量に 応じて水車翼の回転数などを常時監視・制御し、発電電力を最大化する。そのため、年間発電量 は MPPT 方式が多くなる (図 2)。
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また、一時的に水車翼を水流から引き上げることが可能な機構「イージーリフタ」にも順次対応する。台風などの増水時は水路に流れる流木やゴミ等の増加が予想され、また、定期的な保守の際にクレーンなどの大掛かりな設備がなくても本機構により引き上げることが可能なため、より安全な稼働と保守費用の低減が見込まれる。
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