ダイキン工業は、世の中の様々な課題や困り事に対して「空気で答えを出す」取り組みを進めている。その一環として、今回、「エアコン暖房をつけっぱなしにするのとこまめに入り切りするのでは、どちらの電気代が安くなるの?」をテーマに実験をした。
毎年、冬場になると急激な温度差や低温状態が続くことで健康に影響が生じる「ヒートショック」が話題になるなど、住宅内の温度調節が課題になっており、室内で快適に過ごすために「快適で効率的なエアコン暖房の使い方を知りたい」と言った要望が多く寄せられている。また、SNS上で「夏場にエアコンをつけっぱなしにしたら電気代が安くなった」という情報が拡散したことを受け、ダイキン工業が2016年の夏にマンションのほぼ同じ条件の2部屋を使ってエアコン冷房を「つけっぱなし」にした場合と「こまめに入り切り」した場合の比較実験を実施した際には多くの反響があった。「夏場は日中30分程度の外出であればつけっぱなしの方が電気代は安くなる」という結果に対し、「冬場のエアコン暖房の場合はどうなのか」といった多くの問い合わせがあった。
そこで、2016年の夏に実施した実験の冬バージョンとして「エアコン暖房をつけっぱなしにするのと、こまめに入り切りするのでは、どちらが安くなるの?」をテーマに、どのような条件であれば冬のエアコン暖房の電気代が安くなるのか検証した。京都市内のほぼ同じ条件のマンション2部屋を使って実際にエアコン暖房を「つけっぱなし」、「こまめに入り切り」で運転し、検証した結果をまとめた。
1.検証実験の概要・結果
<テーマ>
エアコン暖房を「つけっぱなし」にするのと「こまめに入り切り」するのでは、どちらの電気代が安くなるの?
<実験①>
「つけっぱなし」の方が消費電力量が小さくなる時間帯を探る!
24時間「つけっぱなし」にしたエアコンと、30分間隔でON/OFFを繰り返したエアコンの消費電力量を比較し、「つけっぱなし」の方が安くなる時間帯を調べた。
⇒全ての時間帯で、30分間隔で「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」にした方が消費電力量は小さく、電気代が安くなった。
<実験②>
「つけっぱなし」にした場合と、1日の想定生活スケジュールに合わせて「こまめに入り 切り」した場合の消費電力量を比較する!
1日の生活スケジュールを想定して、外出時/在宅時に関わらず24時間「つけっぱなし」にしたエアコンと、外出時に運転をOFFにしたエアコンの消費電力量を比較した。
⇒2時間の外出をした夜間(18:00~23:00)は、「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」した方が消費電力量は小さく、電気代が安くなった。
1日(24時間)で比較しても、「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」の方が消費電力量は小さくなったが、電気代の差は約30円程度だった。
2.ダイキンからのアドバイス
電気代は、環境によって大きく左右されるため、どんな時でも当てはまるわけではないが、今回の実験と条件が近い場合、30分程度の外出であれば、運転をOFFにするよりも「つけっぱなし」にした方がお得になる可能性がある。一方、1日の生活スケジュールを想定した実験では、2時間の外出をした夜間は「つけっぱなし」にするよりも、運転をOFFにした場合の方が消費電力量が小さいという結果になり、単純に「つけっぱなし」にしておけば電気代が安くなるというわけではなかった。1日(24時間)で比較してみても、「こまめに入り切り」した方が消費電力量は小さかったものの、電気代の差は約30円程度。「こまめに入り切り」する場合と大きく変わらない電気代で、「つけっぱなし」にして室内の温かさを維持しながら快適に過ごす方法もありそうだ。実験結果を参考に、求める快適性と運転効率を考えながら、エアコン暖房の「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」を上手に使い分けよう。
<検証実験①の結果>
[実験①]
「つけっぱなし」の方が消費電力量が小さくなる時間帯を探る!
24時間「つけっぱなし」にしたエアコンと、30分間隔でON/OFFを繰り返したエアコンの消費電力量を比較し、「つけっぱなし」の方が安くなる時間帯を調べた。
[結 果]
全ての時間帯で、30分間隔で「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」にした方が消費電力量は小さく、電気代が安くなった。
<実証実験①のまとめ>
30分程度なら切るより「つけっぱなし」がお得!
実証実験①の「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」のそれぞれの消費電力量と電気代の結果(表1)を見ると、全ての時間帯で「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」の方が消費電力量が小さくなっている。30分程度なら、エアコン暖房を切るより「つけっぱなし」がお得という結果になった。
<実証実験②のまとめ>
長時間の外出や就寝時は「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」がお得!
1日(24時間)で比較しても、「こまめに入り切り」の方が消費電力量は小さいが、わずかな電気代の差で一日中温かい部屋で快適に過ごせることも!
実証実験②の「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」のそれぞれの消費電力量と電気代の結果(表2)を見ると、2時間の外出をした夜間(18:00~23:00)の消費電力量は、「つけっぱなし」が3.4kWh(約92円)、「こまめに入り切り」が2.4kWh(65円)となり、「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」した方が消費電力量は小さくなった。これは、30分間隔で「こまめに入り切り」をした実験①とは反対の結果で、エアコンの運転をOFFにする時間がある程度長くなると、「こまめに入り切り」の方が安くなるということが分かる。
1日(24時間)の消費電力量を比較してみても、12.7kWh(約343円)、「こまめに入り切り」が11.6kWh(313円)となり、「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」の方が消費電力量は小さくなったが、電気代の差は約30円程度だった。
1日(24時間)「つけっぱなし」にするよりも1日の想定生活スケジュールに合わせて「こまめに入り切り」した方が消費電力量が小さいという結果は当たり前のように思える。しかし、スケジュール運転は1日(24時間)の半分以上、13時間もの停止時間があるにもかかわらず、24時間「つけっぱなし」にした場合と比べて電気代換算で約30円しか安くなっていない。なぜ13時間も停止している「こまめに入り切り」と24時間「つけっぱなし」の差がこれほど小さいのだろうか。その答えは、室温の変化を示したグラフ5を見ると分かる。
グラフ5はグラフ3と4から室温の推移だけを抜き出したもの。これを見ると「つけっぱなし」は当然、室温にほとんど変化がない。また部屋の躯体(天井、床、壁)が蓄熱されているため、少ない電力でエアコンを運転できる状態になっている。一方、「こまめに入り切り」は睡眠(23:00~7:00)や日中・夜間の外出時の運転停止のたびに室温が低下し、何度も冷え切った状態から設定温度まで上げていることが分かる。そのため多くの電力を消費してしまったというわけだ。
結果としては、想定スケジュールに合わせて「こまめに入り切り」した方が消費電力量は小さくなったが、実証実験①の結果からも分かる通り、「こまめに入り切り」する頻度がもう少し増えると、結果が逆転する可能性も十分考えられる。
<ダイキンからのアドバイス>
冬のエアコン暖房は電気代が高いというイメージがある。事実、エアコンの暖房運転は冷房運転と比べると消費電力量が大きくなる。一般的な例で考えると、夏は外気温35℃、設定温度27℃でその差は8℃だが、冬は外気温7℃、設定温度20℃でその差は13℃にもなる。エアコンは設定温度に到達するまではフル稼働するため、外気温と設定温度の差(熱負荷)が大きくなる冬は必然的にエアコンが消費する電力量が大きくなる。
では冬のエアコン暖房の電気代は他の暖房器具と比較しても高いのだろうか? 主な暖房器具の定格消費電力をまとめた表3で比較してみると、エアコンの消費電力は、他の暖房器具と比べて決して高くないことが分かる。空間全体を暖めるメイン暖房として冬のエアコンを有効活用してみてはいかがだろうか。
エアコン暖房を使用する時、無駄な電気は使いたくないという意識から「こまめに入り切り」をしている人は多いと思うが、今回の実験条件であれば、30分程度の外出ならエアコン暖房は「こまめに入り切り」するより「つけっぱなし」にした方がお得という結果が得られた。ちょっとそこまで外出したい、買い物に行きたいと思った時など、短時間の外出時には、「つけっぱなし」にすることで、お得で快適にエアコン暖房を使える可能性がある。
実験結果は、あくまで今回の測定条件、測定環境から得られたもので、室内機、室外機の設置状況や天候、日照、最高気温、最低気温、部屋の気密性、断熱性などによって大きく変わってくる。やみくもに「つけっぱなし」にするのではなく、室温、設定温度、外気温の3つの温度を意識しながら、必要に応じて「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」を使い分けよう。
<検証実験の環境>
実験場所 : 京都府京都市
建物構造 : SRC造 13階建て
築年月 : 平成14年8月竣工 築15年6ヶ月
部屋の広さ : 14.1帖 (4階と6階の階違いの同じ間取りの部屋を使用)
使用したエアコン : 「うるさら7 RXシリーズ」 S40VTRXS‐W 4.0kW(主に14畳用)
エアコン設定 : 暖房24℃、風量自動