本サイトでも告知した『間違いだらけのクルマ選び』の刊行記念イベントが2月2日に開催された。あいにく当日は雪に見舞われたものの、その天気を吹き飛ばすかのように熱心なファンが集結! その模様をお届けしよう。
PHOTO◎さいとうさだちか
『間違いだらけ〜』苦労話を引き出すはずが……
前半はおもに竹岡さんが島下さんから『間違いだらけ』の裏話を引き出す展開となった。竹岡さんは特に島下さんになんとか苦労話をさせようと、しきりに水を向けていた。
原稿分量が多いこと(11月に入っても、まだ100ページ近く書けていなかった!)、予想していた新型車が出なかったり、ノーマークだったモデルチェンジが発表されたりすること(ページ組みの大幅変更で対応する羽目に…)、とにかく時間がない(ほぼ徹夜状態で原稿を書き続ける日々)、最後の方はキーボードを叩く指が動かない(特に「A」を打つ小指が…)などなどの苦労話を島下さんから引き出す竹岡さん。
そこまで苦労話を引き出したものの、それに続けて出た島下さんの「でもね、僕は原稿書くのが好きなんですよ。試乗すると『早く原稿書きたい』って思うし」「追い込まれるのもわりと嫌いじゃないみたいで」「だから、苦労…あんましてないかなー」という言葉には、竹岡さんも「…じゃあ、天職、だね!」と言うしかないというオチに。
そのほか、初代著者である徳大寺有恒さんの思い出話や、動画の仕事が多い竹岡さんと執筆が多い島下さんとの仕事のスタイルの違いの話などで盛り上がった。
観客から二人への質問が秀逸で唸らされる
後半は、あらかじめ観客からアンケート記入の形式で集めてあった、MC二人への質問事項をもとに、トークが展開された。
質問に対する二人のトークは非常に楽しいもので、観客もそれを堪能していたが、観客から提示された質問そのものも、なかなか秀逸だった。「2020年にほしいと思うであろうクルマは?」とか、「自動運転時代のバスやタクシーの将来像について」のような、トークを盛り上げるうまい「お題」を提示する質問がいくつもあったのだ。
先に述べたように、このイベントはクルマの話で盛り上がる「クルマ好きのためのサロン」として企画されたものだ。来場の方々もそのような趣旨に共感し、ともにその場を盛り上げようという、MCと来場者とのインタラクションを、そこに感じることができた。日本のクルマ好きはけっこうレベル高いなと、ちょっと感激してしまった。
そのほかにも、ガソリンやディーゼルエンジン、電気から代替燃料まで、さまざまな動力源に関する社会的な意識の高さを感じさせる質問や、「お金に上限なしで、ほしいクルマは?」とか「試乗のときもっとも重視することは?」「クルマ好きになったきっかけは?」のような、MC両名への興味が表れたいい質問も多かった。
これまた二人のトークが盛り上がる。本当にあっという間に90分ほどが過ぎていった。トークの一部は動画で視聴もできるので、興味のある方はぜひご覧になってほしい(下記にリンクあり)。
「クルマライフを楽しむ『ネタ本』にしてほしい」
トークの終了直前に、竹岡さんから島下さんへ「『間違いだらけ』で伝えたかったメッセージは?」という質問が向けられた。
島下さんの答えは「クルマに関して、ベースになる知識・情報は同じ正しいものから出発しても見方はいろいろ。『オレはそうは思わないけどな』という感じで読んでもらっても全然いいんです。とにかく、この本を、自分のクルマライフを楽しむネタにしてもらえればいいかな、と思います」というものだった。
今回の刊行記念イベントを「クルマ好きのためのサロン」のようなものにしたいという意図も、クルマライフを楽しんでほしいというこの言葉の延長線上にあるのだろう。
『間違いだらけのクルマ選び』は、クルマ・バイヤーズガイドであり、モータージャーナリズムの本でもある。しかしそれだけでなく、日本中のあちこちで、クルマ好き同士のお喋りを盛り上げるような本にしたいという、著者の願いがそこから感じられた。
トークの後にはサイン会が行われた。島下さんと竹岡さんの「ダブル・サイン」を求める方も多く、二人の前には長い列ができていた。
『間違いだらけ』刊行記念イベントは、毎年行われており、来期版刊行の際にも、開催される見込み。参加したい方は『間違いだらけのクルマ選び』のTwitterやFacebookをフォローしてほしい。