皆さんは、トゥインゴと聞いて、どんなイメージを持つだろうか? 「コンパクトでオシャレなフランス車」というのは正解である。しかし、マニアックな視点で評価すれば「リヤエンジン+リヤ駆動の軽量コンパクトなRR車」と表現することができる。そんなトゥインゴの最上級スポーツモデルとして「トゥインゴGT」がラインナップされた。
TEXT&PHOTO:西内辰夫(NISHIUCHI Tatsuo)
MT車にはクルマとの一体感がある
ルノー・スポールがチューニングしたホットハッチ「トゥインゴGT」は、昨年ルノー・ジャポンが限定200台を発売し即完売となって話題となったが、ついにカタログモデルへとステップアップを果たしたわけだ。
走りが楽しめるRRにパワフルなターボエンジンを搭載し、意のままに操れるサスペンション・セッティングを施した。そしてESCは通常モデルとは異なり若干のドリフトを許容するという……ある意味で究極のスポーツカーと言えるだろう。
まずはスペックを紹介しておこう。0.9L DOHC直列3気筒ターボエンジンは、最高出力80kw(109ps)/5750rpm、最大トルク170Nm(17.3kgm)/2000rpmを発生。5速MTに加え、限定モデルにはなかった6速DCTモデルが加わった (ちなみにルノーでは、DCTを“EDC(エフェシエント デュアル クラッチ”と呼んでいる)。
さらに、前後ダンパーが40%引き締められたサスペンションのほか、ステアリングにはバリアブルギアレシオを採用している。
「限定200台モデル」との内外装の違いは、ボンネットとルーフにあったデカールがなくなっただけだが、塗装色が「オランジュ ブレイスM」に加え、新たにグレーメタリック系の「グリ リュネールM」が選べるようになった点がトピックだ。また、ついにアルパイン製の7インチ・ビルトインナビが装着できるようになったのは、ルノーファンにとってはある意味で大きなニュースだろう。
今回は5速MTとともに、カタログモデルとなって投入された6速DCTを味わうことができたので、その部分について重点的に紹介しよう。
最初に試乗したのはDCTモデルだったが、走り出してすぐに、エンジンパワーが直接タイヤに伝わるダイレクト感のある乗り味が堪能できた。
操作方法もシンプルで直感的だ。シフトノブを右側に傾けておくと普通のオートマチックのように気兼ねなく走れる一方、シフトノブを左側に倒せば前後のシーケンシャル操作によってマニュアル操作でシフトチェンジできる。ちなみに、前がシフトアップ、後がシフトダウンだ。シフトポジションはメーターパネル内にデジタル表示されるが、スピードメーターだけでタコメーターがない。
じつは、DCTのマニュアル操作では、シフトアップとダウンのタイミングに戸惑ってしまった。シフトダウン時にオーバーレブ気味になったり、シフトアップのタイミングが早すぎたりしたのだ。ロングドライブに行ったり、オーナーになって乗り続けていけば体が覚えてくれるのだろうが、小一時間ほどの試乗でDCTのマニュアル操作は完璧には習得できなかった。
そこでMT車に乗り換えたところ、DCTモデルで感じた盲目感がすべて払拭された。結論を先に言えば、MT車のほうがしっくりきた。
なぜだろう? その理由を自分なりに冷静に分析してみると、DCTのマニュアル操作では、シフトチェンジするときに少しだけタイムラグが生じ、それが自分の意識と一瞬遅れることがちょっとした違和感につながったのかも知れない。
一方のMTは、当然のことながらすべてが自分の支配下にあり、タコメーターがなくても不安感がなく乗ることができた。そう、MT車にはクルマとの一体感があるのだ。MT車からDCT 車に乗り換えての試乗で、それを実感した次第。
まったく逆の意見もある。DCTからMTに乗り換えて試乗した本誌スタッフは、普段はMTを推奨する自他共に認める“マニュアル大好き人間”なのだが「今回の試乗ではDCTの良さが光っていた!」と絶賛していた。
このように評価が分かれてしまったので、本誌スタッフのこちら(↓)の記事を読んでほしい。もしかすると試乗した順番が違っていたら、まったく違う評価になっていたかもしれない。購入を検討している人はぜひ試乗して体感してほしい。
キュートなCM映像を、公式サイトで公開中!
最後にオマケの情報をひとつ紹介しよう。
思わず映像に魅了されるトゥインゴGTのCM映像がルノー・ジャポン公式サイトで公開されている。
「カッコイイ」と「かわいい」がミックスされた、とてもオシャレな作品に仕上がっている。いろいろと記事を書きたいのだが、まずは予備知識なしで再生してほしいので、説明はなし。下のリンク先からどうぞ!
しかも、なんと豪華3本立て!
トゥインゴGTのCM映像を見よう!
これを見ると、トゥインゴGTが欲しくなる!?
