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懐かしの原チャリ、ホンダ・モトコンポにカスタムを施し、50psオーバーの高出力化を果たしたこちらのマシン。その強大なエンジンパワーに対応するために、フレームまできっちり強化済みの本格的な作り込みとなっている。(PHOTO&REPORT:山田俊輔)
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オリジナルのダブルクレードルフレームはモンキー用を加工して製作。リヤショックはYSR80用。
車体の強度は問題なかったが、膨張室の容積を重視したせいで十分な車高が確保できず、バンク時にチャンバーが接地してしまうのが難点。ホンダ・モトコンポ……。空冷2スト単気筒エンジン、排気量49cc。ハンドルを折りたためばホンダ・シティのリヤトランクにすっぽり収まるコンパクトさを売りの一つに掲げ、1981年11月11日にシティと同日発売した。
スクエアデザインの愛くるしいフォルムは、発売から35年以上経過した今もファンが多く、当時80,000円だった新車価格が現在は倍以上、コンディションの良い車両だと40万円以上で取引されるほど希少性が高い。
そんなモトコンポではあるが、今回紹介する車両は、”普通”のものとはひと味もふた味も異なっている。スケール感こそたしかにモトコンポであるが、隆々としたチャンバーが覗き、なんともオトコくさいカスタマイズが施されているのだ。
オーナーでビルダーでもあるmotopaci氏によって「桜花」と名付けられたこちらの車両。その名の通り往年の戦闘機を彷彿とさせる外装もさることながら、注目すべきは搭載されているエンジンである。
本来であればモトコンポのエンジンスワップする際は、モンキーやDio、リード系といったコンパクトな原付エンジンを選択するのが定番だが、このモトコンポはそれよりもひと回り以上大きなカワサキの2スト150ccミッション車、KRR150のエンジンユニットを丸ごと移植。これによってノーマル時2.5psだった最高出力を50psにアップ。20倍の出力を手に入れたと言うわけだ。
ただし、モトコンポの小さな車体に大きなKRR150のエンジンユニットを収めるのは、さすがにひと筋縄とはいかない。
モトコンポのフレームのままではKPR150エンジンと干渉してしまうし、そもそもメインパイプが細すぎて、強大なエンジンパワーを受け止めるに強度不足すぎる。そのためメインフレームはモンキー用を流用→溶接してオリジナルのダブルクレードルを製作。車体の幅だけでなく、ホイールベース長もノーマルと同寸に収めている
足周りも当然のように強化済みで、フロント側は純正の三つ又をベースに、ライブDio ZXの三つ又のクランプ部分を溶接し、同じくライブDio ZX用フロントフォークを流用可能に。これに伴いブレーキもドラムからディスク式となり、制動力を大幅に強化した。
この車両の特徴でもある無数のリベッドが打ち込まれたボディもオーナーのアイデアによるもの。純正の樹脂外装の上から約0.3mm厚のアルミパネルを被せているのだが、成型時に板を叩いて凹凸を作ることで戦闘機特有の雰囲気を演出しているのだ。
……と、オーナーのこだわりが凝縮されたこのモトコンポだが、じつは公道走行を前提としているのもポイント。保安部品の装備はもちろん、車体の強度、エンジンの耐久性もしっかり確保済み。エンジンを始動させるとチャンバーから2スト特有のカンカンという高い金属音が響き、サイレンサーは白煙を吐く。「まだキャブセッティング出しの途中」とオーナーは言うが、市街地の走行程度はお手のもの。100km/h巡航ぐらいなら余裕でこなすほどのポテンシャルを誇っている。
単にエンジンスワップで復活させるだけではなく、人とは違ったエンジンを選択したり、オリジナルの外装を製作するなどして、希少車に付加価値をプラスする。補修部品すらも少ない30年以上も昔のバイクですらも目いっぱい楽しんでしまう、モトコンポフリークの情熱には本当に驚かされてしまう。
純正トップブリッジのクランプ(両端)部分をライブDio純正とドッキングし、これで剛性に優れるDio系の足周りの流用を可能とした。 | 足周りは、KN企画製のフロントフォークにモンキー用ホイールを組み合わせている。 |
モンキー用のスイングアームにワンオフのキャリパーサポートを組み合わせてディスクブレーキ化。 | センター出しチャンバーもワンオフ品。排気口はガトリングガンのようなデザインに。 |
給油口を埋め込みフラット化するエアプレーン加工を採用。 | 2.2Lの純正燃料タンクでは心もとないため、シート下にサブタンクを追加して容量を確保。 |
デイトナ製スピードメーターを右ハンドルにセット。スロットルやスイッチ類はKRR150純正。 | 水温計やレーダーは燃料タンク上部に設置。 |