スズキは、難波さんがデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた会社。その意味ではここも古巣。本命のe-SURVIVOR(イー・サバイバー)の前にまず、眼に入ったのは、XBEE(クロスビー)だった。
「確かに、これ、なんか楽しそうですよ。すごく面白そう。盛り上がりますよ。細かいところ見ていくと、本物じゃないって思いますけど。もちろん、ショーモデルなんですけど。あ! そうだ! これね、面白いことがある! 後ろ後ろ!(と言ってクルマのリヤ側に回る) あそこにサイのマークがあるでしょ? あれ、ジムニーのタイヤカバーに最初の、最初っていうか最初のジムニーじゃないな、まあ、ボクが入社したときに出たジムニーがあるんですけど、そのときのタイヤカバーの画なんです。
ーそのままなんですか?
難波 ちょっとモダンにアレンジしているけど、基本はそのまま。基本は。で、このサイのデザインは、ワタクシ!
ーえええ!? そうなんですか?
難波 いまから30年以上前のボクの、あの、そうですこれ、世界中のジムニー乗りの中で、ジムニー大好きな人たちのなかで、意識がひとつにまとまるカタチなんですよ。あれ見ると“ああ、ジムニーだ”ってわかるんですよ。
ーそうなんですね。
難波 だって、いまだに新品でこのサイのマークがついたタイヤカバー買えるんですよ。売ってるんですよ。
ーええ! すごい!
難波 でしょう(かなりうれしそう)。ところがね、ちゃんとね、オリジナルはそのタイヤカバーですけど、ちゃんと彼らはね、1ヵ所、違えているところがあるんですよ。目玉がない。ボクはちゃんと目玉、つけるの。あとでネットでタイヤカバー、サイのタイヤカバー調べてみたら、これとの差がわかりますよ。でも、ほとんどオリジナルのサイのマークをそのまま使ってる。うれしいですよ。ボク、大変うれしい。それでね、あと、このコンセプトカーはね、ロールバーのところにカバーがあるでしょ、あれ、取り外しができるんです。外すととロールバーが出てくるの。で荷室の、いま上に蓋がしてあるけど、あれ取れるの。そうするとね、ちゃんとモノが積めるスペースが出てくる。その姿を見ると、あ、これやっぱりジムニーだって、ちゃんと思うよね。その差が、ヤマハのさっきのピックアップとの差ですよ。これは真面目にちゃんとジムニーをコンセプトにしてる。そこが案外違うんです。