
今年5月に戦略的パートナーシップを結んだフォーレシアとZF。その最初の成果として、自動運転時代を見据えたシートのコンセプトを発表した。
フォーレシアとZFの戦略的パートナーシップは、自動運転レベル3/4、それ以降(つまり完全自動運転、マンレス(無人)運転)を考えたインテリア、シートの開発を目的としている。「コックピット2025(Cockpit 2025)」と名付けられたコラボレーション・ロードマップに沿った両社の最初の成果が、このシートコンセプトだ。
AVS(Advanced Versatile Structure)と称するフレームコンセプトを採用している。




まず、わずか4カ月の開発期間でモーターショーに出展できるコンセプトシートができたことに、まず驚いた。
フォーレシアのブースは量産品は展示しておらず、すべて開発中のものが並べられていた。プレスカンファレンスの際に、プレスは見て触れることはできたが、撮影は許されなかった。今回のフォーレシア×ZFのシートコンセプトの撮影もNGだった。もちろん、ZFのブースでも見ることはできなかった。
さて、このシートには、さまざまな新しい試みが随所に見られた。
まず、基本のフレームはアルミ合金。シートバックはふたつに分かれていて、アッパーバックレストはコンポジット製(樹脂素材の詳細については、明かされなかった)。もちろん、通常のスチールの部分もあるが、アルミ、樹脂を使って軽量化した。
重量は、サイドスライド機構なしで18kg、ありで21kgだ。
自動運転となると、乗員の着座姿勢はこれまでよりバリエーションが広がる。今回も「リラックス」「ワーク」「ドライブ」の3つのポジションを想定していて、それぞれ、プリセットしてあり飛行機のビジネスクラスのシートのようにボタンひとつでモード変更が可能だ。
ポジションが多彩になると、問題になるのは安全性だ。このシート・コンセプトでもシートベルトはアンカーも含めてシートにインテグレート(統合)されている。そのため、これまで以上の強度が要求され、リクライナーは高強度のタイプで5000Nmという強度を確保した。
シートベルトはZF製で、ZFのアクティブ・コントロール・リトラクターACR8システムが組み込まれていた。エアバッグは、サイドはもちろん、ファーサイドエアバッグも組み込まれている。これもZF製だが、現在は量産品を搭載しているだけだが、将来的には、このコンセプトに最適化したものを開発していくという。
リラックスモードになると頭部の位置を調整しないと快適にならないということで、ヘッドレストは自動で適切な位置に移動する。
フォーレシアによると生産開始は2020年末を予定しているという。