台湾で新車販売シェア40%を誇るキムコ。そのブランド創立50年記念モデル「AK550」の試乗会がツインリンクもてぎで9月1日に行われた。サーキットインプレッションで分かったのは、水冷並列2気筒DOHC4バルブ・550.4ccエンジンを搭載するこのフラッグシップモデルには、スクーターの常識を超えた実力が秘められていたということだ。
KYMCO AK550
2017年12月2日発売
127万4400円
AK550はKIMCO(以下キムコ)誕生50周年を記念して開発されたマキシスクーターである。「スーパーツーリング」をコンセプトに実用性と快適性、走りのパフォーマンスを兼ね備えたキムコの最高峰モデルの位置付けだ。
エンジンは新設計の水冷並列2気筒DOHC4バルブでクロスプレーンタイプの270度クランクと2軸バランサーを装備することで、パワフルでスムーズな出力特性と大排気量モデルらしい鼓動感と低振動を実現している。
AK550の試乗会を「もてぎ」のしかも本コースで行うと聞いて、正直いくら最新型とは言えスクーターでそれはやり過ぎでしょ、という思いが最初は強かった。ところが、実際に乗ってみるとその意味するところが理解できたのだった。
まず驚いたのはパワー。最高出力53.5PSは直接のライバルと思われるTMAX530の46PSを大きく上回っている。同時に乗り比べた訳ではないので迂闊なことは言えないが、直感的にTMAX530と同等以上の加速力があるように感じた。事実、もてぎのダウンヒルストレートではメーター読みで173㎞/hを記録。これを止めるブレーキも強力で、ブレンボ製の前後トリプルディスクは200㎏を優に超える巨体を楽々と減速させる。加えてボッシュ製のABSの作動感も自然でコントロールしやすいため思い切って突っ込めるし、慣れてくるとコーナー毎にABSを作動させながらのフルブレーキングも可能だ。
コーナリングも楽しい。ホイールベースが長く、タンクをヒザで挟み込むライポジではないためクイックな旋回は苦手だが、一方で車体と足周りがしっかりしているので、S字の切り返しでも破綻するような動きは出ないので安心。重心は低いがロードクリアランスは十分確保されているため、タイヤの端まで使ってフルバンクまで倒し込んでも車体を接地することはほとんどない。その気になれば、ヒザ擦りだって思いのままだ。本格的な国際サーキットでここまで攻められる“スクーター”というところが凄い。
■■SPECIFICATIONS■■
・全長×全幅×全高 2165×795×1400mm
・ホイールベース 1580mm
・シート高 785mm
・車両重量 226kg(装)
・エンジン種類 水冷4ストDOHC並列2気筒
・排気量 550.4cc
・最高出力 53.5ps/7500rpm
・最大トルク 5.67kgm/5500rpm
・燃料タンク容量 15L
・トランスミッション Vベルト無段変速・電子制御式
・ブレーキ(前)ダブルディスク(ABS) (後)ディスク(ABS)
・タイヤ(前)120/70-15 (後)160/60-15