バッテリーがパワフルになればなるほど、電気自動車の航続距離が伸びることは皆さんもご存じの通りだが、新しいパワートレインでも同様の効果を得ることができるものはあるだろうか? ボッシュの新型電動アクスル「eAxle」においては、答えはyesである。
eAxleの特徴は、モーター、パワーエレクトロニクス、トランスミッションという3つのパワートレインコンポーネントを1つのコンパクトなユニットに統合し、車軸をダイレクトに駆動させる点だ。これにより、パワートレインの効率が一層向上するだけでなく、低コスト化も実現できる。
ボッシュ取締役会メンバーとしてモビリティ ソリューションズ セクターを統括するロルフ・ブーランダーは、「ボッシュがオールインワンの原則をパワートレインに適用して生まれたのが、この『eAxle』です」と説明する。「eAxle」は非常に柔軟に、 ハイブリッド車、電気自動車、コンパクトカー、SUV、また小型商用車にも搭載が可能。そしてそれにより、幅広い市場と大きな潜在的ビジネスチャンスをボッシュへもたらすと期待されている。
■「eAxle」は従来の電動パワートレインと比べてどれだけ効率が向上したのでしょうか?
非常に高効率な個々のコンポーネントが、全体の高レベルな効率性のベースとなっています。この点で、ボッシュは市場における長年の経験を活かしています。さらに、高電圧ケーブル、プラグ、冷却ユニットなどのコンポーネントやインターフェースを削減することで、効率性の低下を最小限に抑えています。ボッシュの強みの1つは、個々のコンポーネントを組み合わせてシステムを作り上げ、システム内の相互作用を活かして全体の最適化を図る能力があるということですが、「eAxle」の場合、この能力は効率性だけでなく、モーターの音振性能と電磁力性能の両立といったことなどにも活かされています。
■「eAxle」はいつ頃市場に投入されるのでしょうか?
ボッシュは電動アクスルを2012年から市場に投入していますが(Peugeot 3008やFiat 500eなど)、そのシステムではモーターとトランスミッションは一体化していましたが、パワーエレクトロニクス(インバータ)は一体化していませんでした。ボッシュの新世代の電動アクスル「eAxle」はまだ開発段階ですが、世界中の自動車メーカーへプロモーションをしています。「eAxle」の試作品は使用可能な状態で、現在評価をしております。量産開始は2019年頃を予定しています。
■ どんな車両に搭載できますか?
ボッシュの「eAxle」は、さまざまな車両タイプに採用できるような設計となっていますので、ハイブリッド車、電気自動車への搭載において、前輪駆動車、後輪駆動車共に対応することができます。最大重量7.5トンの車両まで搭載できるため、乗用車だけでなく、小型商用車にも採用していただけます。
■ なぜ「eAxle」は、電気自動車に現在搭載されているパワートレインよりもコストが抑えられているのでしょうか?
「eAxle」は、パワーエレクトロニクス、モーターとトランスミッションを1つのユニットに統合し、必要な部品の数を抑えています。たとえば、「eAxle」はモータとインバータをつなぐ太くて高価な高電圧ケーブルをまったく使用していないほか、冷却システムの簡略化や、一部ベアリングの廃止等により、パワートレインのコストを抑え、効率を向上することができました。また、トランスミッションをモーターの近くに配置することで、自動車業界にとって非常に重要な要素となる設置スペースも最小限に抑えています。
■ ボッシュはeモビリティにどれほど取り組んでいるのでしょうか?
すでに世界中で、ボッシュ製のコンポーネントを搭載した電気自動車やハイブリッド車が50万台以上走行しています。eモビリティ時代の到来に備えて、ボッシュは年間4億ユーロを投資しており、これまでに世界の自動車メーカーから30件を超えるeモビリティ関係のプロジェクトを受注しました。