旧い輸入車を乗りこなす。一般的に考えると非常にハードルが高いことのように思える。
ある程度は壊れる前提で考えておかないと、苦労することは間違いない。
最初に頭によぎるのは、部品の供給だろう。次に、修理してくれるショップ選び。そして維持費だろうか。
そのクルマがレアであればレアであるほど情報量は少なく、維持に苦労するのは確かではある。
しかし、長年、旧車の世界にいてたくさんの人々を見ているが、結論は情熱さえあれば必ず「なんとかなる」である。
買ってしまえば、なんとかなる?
今まで知り合ったたくさんの旧車乗りの中で「壊れてどうしようもなくなり、手放した」人は周りにはいない。
もちろんずっと乗り続けている方々ばかりなので、それなりにノウハウは蓄積しているだろうが、最初はみんな旧車初心者からはじめているのだ。それでも維持はできているのである。
「買えばなんとかなる」と言ってもいいのかもしれない。
以前よりネットワークが充実しているおかげで、欲しい情報が簡単に手に入りやすいことも大きい。同じクルマに乗っている人を探せば簡単にネットで情報が得られ、そして繋がることができる。レア性が高ければ高いほど情報共有を目的に、そこから輪が広がることが多い。壊れても惜しみなく情報を教えてくれる人が多いのである。
現在ではSNSを主体として、そういったグループに入れば、壊れた原因から部品の供給はもちろん、修理してくれるショップにいたるまで、多くの人の知識を共有することもできる。
※平然とショップに情報だけを問い合わせる人がいるが、それはナンセンスだ。料理屋にレシピを教えてくれと電話で問い合わせるようなものである。
旧い輸入車の何が素晴らしいか?
当然のことであるが、現在での基準では同じようなクルマを作ることは不可能に近い。
最近、知り合いのレーシングドライバーがポルシェ356を購入した。「速度に関係なく運転が楽しい」とおっしゃっていた。旧いクルマの楽しみ方は一つだけでなく幾通りもあるが、まさにこれがシンプルにわかりやすい正論かもしれないと思った。
他に挙げられる旧車の魅力といえば、やはりデザインだろう。
著者が思うには、特に1950年代から1970年代にかけて、現在のように技術がまだ成熟しておらず、各メーカーがしのぎを削って技術の革新を目指していた時代であったのではないか。