男がいて、女がいて、そして光があれば影もあるように、出会いがあれば別れがある。……自称輸入中古車評論家のくせに、なぜかスバルXVなる国産新車と電撃的な出会いを果たしたわたしは、「お別れ」をしなければならなかった。
約2年前に購入した名機・96年式マツダ ロードスターとのお別れである。
月3万円超の駐車場を「もう1枠」はさすがに少々厳しい
や、わたしがもしも年収で2000万円も3000万円も稼いでいるようなお大尽であったなら、XVが来るからといってロードスターを手放す必要はない。「2台体勢」を敷けば良いだけの話である。もしくは、月極駐車場代の相場が5000円とか1万円とかのエリアに住まっている場合も同様だ。
しかしあいにく下請け奴隷労働者たるわたしの年収が2000万円も3000万円もあるはずがなく、それでいて、ここいらの月極駐車場相場はおおむね3万円超である。
別れるほかなかったのだ。
や、よくわからないが怖い顔した何者かに「本当にオマエは月々プラス3万円が払えないっつーのか? エッ?」と詰められたなら、「や……払えないこともないはないです」と小さな声で答えるだろう。実際、そのとおりだ。
しかし寄る年波の影響で今後考えられる仕事量の減少。安倍自民党が安定過半数を占めた場合の消費税率アップ。日銀によるインフレターゲットの達成。猫缶の値上げ。草野球用軟式ボールの新規格品への全面買い替え等々々々を考えていくと、「……年間36万円の固定費増ってどうなんだ?」と思わざるを得なかったのである。
ロードスターとの別れ。そして「ゼニ儲け」について考える
まぁ要するに日和ったということだ。そんなわたしを、嗤いたければ嗤えばいい。
「このド貧乏人めが!」
「NAを売るなんて……お前はクルマ好きのふりしてるけど、本当は大して好きじゃないんだろ?」
「気合が足りねえんだよ気合が!」
「お前のかあちゃんデベソ!」
それらに対して多少の反論はしたいところだが、しかし同時に、それらは少しずつ事実でもある。母の臍についてはよく知らないが。
しかしいずれにせよ本日、96年式ロードスターは去っていった。腰の悪そうな陸送屋さんのおじさんが低い運転席に乗り込み、自走により川崎市の港まで運んでいった。そこから先は、おそらくフェリーでしかるべき場所へと運ばれていくのだろう。