秋も深まり、北海道から東北へと紅葉前線が南下しています。赤や黄色に色づく木はカエデ、イチョウなどがありますが、北海道では、北海道ならではのエゾヤマザクラやシラカバなどの樹木が赤や黄色く染まり、秋を彩っています。北海道の北部以外では今が紅葉の見ごろ。赤いエゾヤマザクラやナナカマド、黄色いシラカバやカラマツなど、北海道らしい紅葉を見に行ってみませんか。
エゾヤマザクラ/葉が赤や橙色に。秋も鮮やかな“桜紅葉”
北海道に多く分布しているエゾヤマザクラは、高さが15~25m、太さは80~90cmほどにもなる大型のサクラで、山の斜面などでよく見られます。北海道では街路樹として利用されていることも多く、春になると道路がピンク色に染まり、道民や観光客の目を楽しませてくれます。
エゾヤマザクラは花が大きく、やや濃いめのピンク色で、しかも、花が開くと同時に赤っぽい葉を出すので、春になると全体的に華やかな印象になります。このように、春は鮮やかなピンクのエゾヤマザクラですが、秋もまた美しく紅葉します。
秋になり、桜の葉が赤く色づくことを「桜紅葉」といい、サクラは他の樹木よりも先に色づきはじめます。同じ遺伝子をもつソメイヨシノはほぼ同じ時期に紅葉しますが、ヤマザクラはそれぞれの個体差が大きいため、色づく時期や葉の色も多様。そこが野生種らしい紅葉といえますね。
札幌の月寒公園では、歴史の森やくつろぎの森、散策の森など、紅葉を楽しめるスポットがたくさんあり、エゾヤマザクラも赤く色づいているのでオススメです。
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シラカバ/北海道を代表する樹木。秋になると黄色に染まる“黄葉”
北海道で多く見られる木といえば、シラカバがあげられます。光沢のある独特の白い樹皮と、緑の若葉とのコントラストが鮮やかで、さわやかな高原のイメージがあるシラカバですが、実は秋の紅葉の時期になると葉が色づき、そして落葉する樹木なのです。
シラカバの紅葉は赤や橙色ではなく、葉が黄色く色づくので、紅葉ではなく「黄葉」。イチョウも同じように黄色くなりますね。
旭川や富良野からほど近い美瑛町から白金温泉方面に向かう道路沿いには、およそ4kmにわたってシラカバの並木が続き、白樺街道とよばれています。車道の脇が遊歩道になっていて、紅葉狩りならず、黄葉狩りにはちょうどよい散策コースとなっています。
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ナナカマド/葉も実も赤く染まる街路樹。北海道ではとても身近な木
ナナカマドは日本のどこの山にも生えていて、北海道にしかない、というわけではありませんが、北海道では旭川市、室蘭市、紋別市、稚内市などで市の木に指定されていたり、よく街路樹として植えられているので、道民にとってはよく見かけるとても身近な木です。
秋になると真っ赤な実をつけるので、実のほうが有名ですが、葉もまたみごとに赤く染まります。実も葉も赤く色づいた街路樹は、北海道でよく見かける光景です。
異国情緒で多くの観光客が訪れる函館には、函館山から港にかけてたくさんの坂がありますが、その中でも、石畳の坂に教会や洋館が並ぶ「大三坂」には、街路樹にナナカマドが植えられていて、秋になると坂が赤く華やぐ観光スポットとして知られています。葉も実も赤く色づき大三坂を彩るナナカマドですが、11月も後半になると葉が落ち、赤い実だけになりますが、鳥たちがついばみにやってくるので賑やかになります。
秋の時期、赤く彩られた坂の上からレトロな市電が通る道路を見下ろす眺めは絶好の写真スポット。坂の上にはおいしいソフトクリーム店があり、こちらもオススメです。
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カラマツ/針葉樹なのに黄葉し落葉する。美瑛の丘を黄金色に彩る
カラマツは針葉樹なのに秋になると葉が黄色くなり落葉するという、めずらしい樹木です。成長がとても早いので、北海道では広い畑の防風林として植栽されてきました。特に、丘のまちとして有名な美瑛では、広大な畑のあちらこちらでカラマツの葉が黄色くなる“黄葉”が見られ、赤く彩られる紅葉とは一味ちがった秋の光景が楽しめます。
美瑛のカラマツは防風林の役割を担うので、直線状に並んでいる場合が多く、それらが、ある時期になると一斉に黄色、黄金色、橙色に色づき、見渡す限りの広大な畑に彩りを添えます。カラマツの黄葉は、ほかの樹木の紅葉がひと段落した後のわずかな期間だけ。足元の畑には秋まき小麦の新芽の新緑、広い畑を区切るカラマツ林の黄葉、遠くには雪をかぶった山系。長い秋でこれらが一度に見られるのはわずかな期間です。北海道らしい秋の光景。一度は見てみたいものですね。
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北海道は北部以外では紅葉が見ごろをむかえています。これから紅葉狩りを計画している方は、北海道で“北海道らしい”紅葉・黄葉を楽しんでみてはいかがですか。