12月22日は二十四節気の「冬至」。「冬至冬中冬始め(とうじふゆなかふゆはじめ)」ということわざがありますが、これは、「冬至は暦の上では冬の真ん中にあたるものの、実際はこれから冬の厳しい寒さが始まること」という意味です。寒さが厳しくなると注意したいのが「ヒートショック」です。
1月は全国的に厳しい寒さ
気象庁の3か月予報(12月20日発表)によりますと、1月は冬型の気圧配置が強く、寒気の影響を受けやすいため、気温は全国的に平年並みか平年より低くなりそうです。各地で厳しい寒さが続くでしょう。2月も一時的に寒気が流れ込む見込みです。なお、今週末から年末年始にかけて、日本付近にはたびたび強い寒気が南下する予想です。冷え込みが厳しい日は、家の中でも足元が冷えて、寒いと感じられる場所が多くなるかもしれません。
効率よく部屋を暖めて、寒さ対策を
今年、政府は冬の時期としては7年ぶりに、全国の家庭や企業を対象として、数値目標は設けないものの、無理のない範囲での節電の協力を呼びかけました。1月から2月にかけて、厳しい寒さが予想されますので、万全の寒さ対策が必要です。そこで、節電しながら効率よく部屋を暖める、寒さ対策のポイントについてご紹介します。
・暖かい空気を逃さない
部屋の暖かい空気は、大半が窓から外に逃げてしまいます。そのため、節電しながら部屋の暖かさを保つには、窓の断熱性と気密性を高めることが大切です。窓に断熱シートを貼ったり、生地の厚いカーテンをかけたりすると良いでしょう。カーテンは、窓全体を覆うことができる幅のものや、床につくくらいの長さのものがおすすめです。
・足元を温かく
冷たい空気は下にたまりやすいため、エアコンの風向きを下にしたり、サーキュレーターなどで空気を循環させたりすると、部屋の中を効率よく暖めることができます。また、電気カーペットや電気ストーブを使用して足元を温かくすると、エアコンの設定温度が低くても、暖かく過ごすことができます。
・重ね着など服装の調節
首元や足元を温めると体感温度が上がるといわれています。部屋の中でもカーディガンや肩掛けなど羽織る物や、タートルネックのセーターなどで、うまく服装を調節なさってください。ひざ掛けや厚手の靴下、レッグウォーマーなど、小物を活用するのも良いでしょう。
ヒートショック対策 足元を温かくすることがポイント
ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋への移動など、温度の急な変化が体に与えるショックのことです。急な温度差によって血圧が急激に変化すると、心臓など体に負担がかかり、ヒートショックのリスクが高まります。特に、冬の入浴時は、暖かい居間から寒い脱衣所や浴室に移動して、その後、浴槽のお湯で温まることで血圧が急激に変化し、一過性の意識障害やめまい、立ちくらみを起こすことがあるため、注意が必要です。
WHO(世界保健機関)では、健康を守るための安全でバランスのとれた室内温度として、冬の室温を18℃以上にすることを強く勧告しています。部屋と部屋の温度差を少なくして、家全体を暖かくすることが大切です。また、室内でも血圧の変動を大きくしないために、足元を温めることが重要だといわれています。
国土交通省の資料(*出典1)によると、床上1mの室温が1℃低下した場合よりも、床近傍の室温が1℃低下した場合の方が、血圧がより上昇しやすいという結果が示されました。このような低い室温による血圧の変化は、ヒートショックのリスクをより高める可能性があるため、ヒートショックを防ぐには、部屋と部屋の温度変化を小さくするとともに、部屋の中を、特に足元を温めることが大切です。上手に節電しながら効率よく部屋を暖めるとともに、家全体を広く暖かくして、ヒートショック対策を心がけてください。
日本気象協会では、ヒートショックの知識や対策をより多くの人に知ってもらうため、ヒートショックの啓発プロジェクト「STOP!ヒートショック」をサポートしています。また、日本気象協会は東京ガスと共同開発した「ヒートショック予報」について、tenki.jpでも提供していますので、ぜひご活用ください。
(*出典1)
・国土交通省「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?調査結果から得られつつある「新たな知見」について報告します~断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)~」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000198.html
(参考資料)
・経済産業省 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/shoene_setsuden/
・tenki.jp「3か月予報」
https://tenki.jp/long/three_month/
・政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202111/1.html
・「STOP!ヒートショック」
https://heatshock.jp/