ウォームビズとは、環境省の主導で2005年からスタートしたキャンペーンのことです。[注1]
秋冬における地球温暖化対策の一環として推奨されている取り組みで、環境省では特設サイトを設けてウォームビズの普及・浸透を後押ししています。
ウォームビズは地球に優しいだけでなく、実施した人自身にもメリットのある取り組みですので、無理のない範囲で上手に生活に取り入れてみましょう。
今回はウォームビズの実施期間や、主な目的と意味、快適に過ごすポイントについて解説します。
[注1]環境省:令和3年度 ウォームビズについて
ウォームビズはいつからいつまで?
令和2年までは、ウォームビズは11月1日~3月31日までの約5ヵ月間にわたって行われる取り組みでした。[注2]
しかし、南北に長い日本では、同じ時期でも地域によって寒暖差が大きいこと、地球温暖化などの影響によって季節はずれの寒暖が起こりやすくなっていること、さらにはコロナ禍によって働き方の多様化が進んでいることなどから、令和3年より全国一律の実施期間の設定は行わないことになりました。[注1]
例年、10月になると環境省より当年度のウォームビズの取り組みや概要が公式サイト上で発表されますが、いつからいつまでウォームビズを実施するかは、個々の判断に委ねられています。
[注2]環境省:令和2年度「ウォームビズ」について
ウォームビズの目的や意味
ウォームビズとは、暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイルを推奨するキャンペーンのことです。政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言しました。[注3]
ここでいう「排出を全体としてゼロにする」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いた値をゼロにすることを意味しています。カーボンニュートラル実現のためには、吸収量を強化しつつ、温室効果ガスの排出量をなるべく削減しなければなりません。
その取り組みの一環として始まったのがウォームビズです。暖房の室温を適切に調整することにより、エネルギー使用量を削減し、温室効果ガス排出の抑制を目指します。
■家庭やオフィスにもメリットのあるウォームビズ
ウォームビズの一番の目的は地球温暖化の防止ですが、それを実施する家庭やオフィスにも大きなメリットをもたらします。たとえば、前述のとおり、ウォームビズを実施すると暖房に必要なエネルギー使用量が減るため、電気代や燃料代の節約につながります。
ウォームビズは地球に優しいだけでなく、家計の負担軽減にも効果的な取り組みです。そのため、国や政府では積極的かつ主体的に取り組むことを推奨しています。
[注3]脱炭素ポータル:カーボンニュートラルとは
ウォームビズの期間を快適に過ごすポイント
ウォームビズの期間中、快適に過ごすために心がけたいポイントを4つご紹介します。
■1. 3つの「首」を温める
3つの首(首、手首、足首)には太い血管が通っているため、重点的に温めると体全体も温まるといわれています。マフラーや手袋、靴下、レッグウォーマーなどのアイテムをファッションに取り入れ、3つの首を効率よく温めましょう。とくに入浴後は体の熱を逃さないよう、パジャマの上に薄手のカーディガンを羽織ったり、就寝の際に首元にタオルを掛けたりすると、冷えを予防することができます。
■2. 着用する服の素材に注意する
近年は薄手でありながら、体の熱を逃さない仕様になっている機能性素材のインナーが数多く発売されています。機能性インナーは薄くて軽いので、ファッションの邪魔にもならず、効率よく体を温めることが可能です。さらに、防寒性や耐風性の高いアウターを着用すれば、外気の冷たさを遮断して快適に過ごしやすくなるでしょう。
■3. 体を温める料理・食材を選ぶ
体を温める作用を期待できる料理や食材を選べば、体を内側から温めることができます。たとえば、体を温める作用があるといわれる根菜類や生姜などをたっぷり加えた鍋料理などがおすすめです。食材は地元のものを選ぶ「地産地消」を心がければ、流通にかかるCO2の削減にも役立ちます。
■4. 暖かい空気が逃げない工夫を採り入れる
暖房をつけていても、暖かい空気が外に逃げてしまっては、効率的に部屋を暖めることができません。暖かい空気をなるべく外に逃がさないよう、窓に断熱シートを貼り付けたり、厚手のカーテンを引いたりする工夫を採り入れましょう。また、暖かい空気は上にのぼっていくので、扇風機を上に向けて空気を循環させるのも有用な手段のひとつです。
ウォームビズ期間中は生活に工夫を採り入れて快適な環境を整えよう
ウォームビズは例年、秋~冬にかけて行われている環境省主導のキャンペーンです。暖房時の室温を20℃に設定することで、温室効果ガスの排出量を抑え、カーボンニュートラルの実現を目指します。家庭やオフィスにおいては、消費電力を抑えることで電気代の節約につながります。衣食住の工夫を採り入れ、暖房に頼りきりにならない日常生活を目指しましょう。
天気予報専門メディア「tenki.jp」では、その日の予想気温に応じて最適な服装を提案する「服装指数」を公開しています。気温や湿度、天気に合った服装を選べば、暖房に頼らなくても冷えを感じにくくなり、ウォームビズ期間中を快適に過ごせるようになります。お出かけ前は、服装指数をチェックする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。