巷には彩様々なスイーツがたくさんあります。その中でも、和菓子には、日本の四季折々の風土や情緒が込められているものが多くあります。今回も前回までに引き続き、地方の銘菓や郷土菓子をご紹介します。フォーカスするのは九州地方のもの。それぞれ地元の人に長く愛されているお菓子たち。贈答用にはもちろんですが、ご自身で楽しんでみても。季節や地域に思いを馳せながら、味わいの旅をしてみるのはいかがでしょうか?
☆鶏卵素麺 石村萬盛堂
福岡市の銘菓です。16~17世紀にポルトガルから伝来した南蛮菓子が起源とされています。糖蜜を煮ている鍋の中に、卵黄を細く、長く注ぎ入れて作られます。卵黄の黄金色が、見た目にも鮮やか。しっとりした口当たりは意外な驚きに満ちており、シンプルですがコクのある味わいと、素麵さながらの形状から、ついつい食べすぎてしまいそうです。日本三大銘菓(※諸説あり)に数えられることもある銘菓です。
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☆岡の雪 但馬屋老舗
大分県竹田市の銘菓です。創業は1804年、旧岡藩の御用菓子司から始まりました。但馬屋老舗は、多くの茶人に愛された茶室や西南の役で焼け残った土瓦が残り、歴史を感じる店構え。200年以上の歴史がある「三笠野」も有名ですが、今回ご紹介するのは、南国・竹田市に降った雪が消えてゆく様を模した干菓子です。淡雪のように、繊細な口溶けを楽しむことができます。形状の華やかさはありませんが、だからこそシンプルな味わいを楽しめるお菓子です。
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☆一〇香(いっこっこう) 茂木一まる香本家
長崎市の銘菓です。長崎というと南蛮貿易が思い浮かびますが、このお菓子は中国伝来。見た目はころんとした形の饅頭のよう。焼く前はしっかりと餡が入っているそうですが、食べるとなぜか空洞になっているという不思議なからくり菓子です。名前の通り、一口食べると香ばしさが口いっぱいに広がります。そして、パリッとした、食べ応えのある食感。香ばしさが口いっぱいに広がります。ぜひ、ガブリと食べてみて欲しいお菓子です。
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☆鯨ようかん 阪本商店
宮崎市の銘菓です。鯨ようかんはこの地域の伝統菓子です。佐土原藩第四代藩主の島津忠高が、延宝4(1676)年に亡くなり、生まれたばかりの若君を巡ってお家騒動が起こります。この時に若君の生母が「鯨のように大きく、たくましく、力強い子に育って欲しい」と願って作らせたのが由来だそうです(諸説あり)。こちらの鯨ようかんは保存料を使用せずに、少ない人数で作られているので、売り切れも早いそう。米粉をあんこで挟んだような形状で、柔らかくもちもちとした食感。ほんのりとした甘さを引き立てる、しっかりした塩気も感じる味わいです。
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旅行せずとも旅気分が味わえるのは「食」の良いところでは。ぜひ思いを馳せて、いただきましょう♪
参考
太陽の地図帖22 郷土菓子/平凡社