10月になり、北海道では動物たちが冬眠の準備をはじめるころになりました。北海道にだけ生息するエゾシマリスも、頬袋をパンパンにして、せっせと巣にエサを運び、冬支度をしています。早い個体だと、9月下旬にはもう冬眠に入るとか。冬眠から覚めるのは4月。エゾシマリスの200日間にもおよぶ長い長い冬眠生活が、今年も始まろうとしています。
「エゾリス」は冬眠しないけど、「エゾシマリス」は冬眠する
北海道にはエゾシマリスとエゾリスの2種類のリスが生息しています。エゾシマリスは背中にシマシマがある小型のリスですが、エゾリスはシマシマがなく、耳がピンと立っている大型のリスです。
エゾリスは冬眠をしないので、雪の上で元気いっぱいに走り回る姿をよく見かけます。一方、エゾシマリスは冬眠をするので、秋になるとせっせとエサを巣に運びます。木の実がつまって頬袋がパンパンになっているエゾシマリスの姿をよく見かけるのも、冬眠前の、ちょうど今ごろです。
体長12cm。体重100g。背中に5本の黒い縞。地上で生活
エゾシマリスは体長が12~15cmで、シッポの長さが12cmほど。体重はおよそ100g。背中に5本の黒い縞があり、日本では北海道にだけ生息しています。奥深い森にしかいない、というわけではなく、市街地にわりと近い公園などでもよく見かけます。札幌だと円山公園がエゾシマリスの“宝庫”のようです。
なんとなく、いつも木の上で生活しているイメージがありますが、生活圏は地上で、地下に巣を作ります。とはいってもリスなので、木登りももちろん得意です。
冬眠の間は、たまに起きて食べたりしている。巣穴はとても清潔
冬眠というと、冬の間はずっと寝ている、というイメージがあります。クマなどは冬眠に入る前にエサをたくさん食べて脂肪を蓄えます。たまに目が覚めることはありますが、何も食べず、排泄もしません。
一方、エゾシマリスは冬眠の間、10日に1回ほど目覚めては、巣に貯めていたエサを食べたり、排泄をしたりします。体温を3~8℃に下げてエネルギーの消費をなるべく少なくしていますが、消化吸収などの機能は最小限維持しているそうです。
エゾシマリスの巣穴は地下に作られます。深さ50cm、全長1mほど。巣穴は食事をするところと排泄するところが決まっていて、清潔に保たれています。この小さな巣穴に、10リットルほどのどんぐりが蓄えてあったという驚きの記録もあるといいます。10リットルのどんぐりを貯めるためには、巣まで何往復したのでしょうね。
参考
国土交通省 北海道開発局 帯広開発建設部 哺乳類一覧リスト「エゾシマリス」
東京ズーネット「シマリスの冬眠」
層雲峡ビジターセンターだより No.81「エゾシマリス~9月」
北海道では10月になると朝晩の気温がぐんと冷え込み、初霜が観測されるようになります。冬眠をする動物たちは、エサを食べたり貯めたりと忙しい時期を迎えています。頬袋にいっぱい木の実を詰め込んで、忙しそうに走り回るエゾシマリス。冬眠後に会えるのは来年の4月です。