今年の夏の夜空は、火星大接近などイベント満載でしたが、秋になっても、宇宙はまだまだステキな天体ショーを演出してくれます。
約10日後の9月21日(金曜)、金星が最大光度になります! 「宵の明星」「一番星」などと言われる光り輝く美しい金星が、さらに輝きを増すこの日。さらに、9月12日(水曜)、13日(木曜)には金星と細い月がランデブーするロマンチックな天体ショーも!
21日までにはまだ10日ほどあるので、早めに観測計画を立てて、空を見上げるにふさわしい最高のスポットをみつけて出かけてみませんか。
地球のすぐ内側をまわる金星は、太陽の周りを225日かけて一周
太陽系の惑星は8つ。
「すい、きん、ち、か、もく、ど、てん、かい(水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星)」と、学生時代にならった太陽系惑星の並び順がしっかり頭のなかに入っている方も多いのでは?
この中から、2006年に冥王星は外れてしまいましたが、太陽系の惑星は太陽を中心にして、内側からこの順番で、ぐるぐる回り続けています。
さて、太陽系のなかで、地球よりも内側を公転している惑星は、水星と金星のみ。金星は太陽の周りを225日かけて一周し、その外側を回る地球は、365日かけて太陽の周りを一周しています。
ちなみに、金星がほかの惑星と大きく違う点は、逆向きに自転していること!しかも243日かけて一回転するというのです。これぞ、宇宙の神秘ですね。
月のように満ち欠けをする金星。三日月のころ、マイナス4.6等の輝きに!
肉眼ではわからないですが、太陽と地球と金星の位置関係により金星も月のように満ち欠けをし、見かけの大きさも変化します。
地球、太陽、金星と並ぶときは、金星は太陽の光を全面に浴びて、満月のように光り輝きますが、地球からの距離は遠いため、明るさはマイナス3.9等くらいです。
金星は地球に近づくにつれ、太陽の光が当たらない影の部分が地球に向くようになるので、月のように欠けて見えるようになります。金星が最大光度になるころには三日月のような形になりますが、その輝きはマイナス4.6等もなり、肉眼でも昼間の青空の中に見つけることができます。
金星が最も地球に近づくときは、影の部分が地球に向いているため、新月のような状態になり一時見えなくなってしまいます。そしてまた、新月の状態を過ぎ、地球から少しずつ離れて三日月のような形になったとき、再び最大光度を迎えます。
夕方の西の空に輝く金星は、肉眼でもとらえやすい
今年は9月21日(金曜)と12月2日(日曜)に、金星の最大光度を迎えます!
「宵(よい)明星」と言われる金星は、太陽と月をのぞいて、最も明るく見える星。その明るい星が最も輝く日ですから、日の入り後、まだ明るい西の空の低空に輝いているのを見つけるのは、それほど難しくないはずです。
ぜひ、高い建物などがない観測条件のよい場所を見つけて、西の空を眺めてみてはいかがでしょう。天体望遠鏡があれば、三日月に輝く星が見られるかもしれません。金星は、日の入り30分後の高度が10度と低く、太陽を追うようにすぐに沈んでしまうため、観測は早めにしましょう。
また9月12日(水曜)、13日(木曜)には、金星の近くに細い月が並びます。宵のころに月と金星が輝く空は、とてもロマンチック。夜を彩る宇宙でのステキな共演に、きっと心躍ることでしょう。
●参考/国立天文台ホームページ