7月5日は「江戸切子」の日。夏を彩る、涼しげな江戸切子の世界を少し知ってみませんか?オリンピックを控え、にわかに「江戸」や「東京」、日本の文化が注目されはじめている昨今。江戸切子をベゼルに用いた限定ウオッチが話題になったりもしています。今回はそんな江戸切子を体験できる情報もあわせてご紹介しちゃいます。
江戸切子とその歴史
天保5年(1834年)に江戸大伝馬町のビードロ屋・加賀屋久兵衛が金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻したのが初めて、と伝えられています。時を経て、明治14年に切子(カット)指導者として英国人のエマニエル・ホープトマン氏を招いて十数名の日本人がその指導を受けました。これを機に現代に伝わる江戸切子の伝統的ガラス工芸の技法が確立されました。江戸切子は昭和60年に東京都の伝統工芸品産業に指定、平成14年に国の伝統的工芸品にも指定されました。
「江戸切子」と呼ぶことができるのは、1.江戸切子協同組合組合員が作成 2.ガラスである 3.手作業 4.主に回転道具を使用する 5.指定された区域(※江東区を中心とした関東一円)で生産されている、という条件を満たしたものだけとなっています。※江戸切子協同組合による
洗練された模様にうっとり
まずは、江戸切子の製作はどのように行われるのか、その工程をご紹介します。
1 割り出し カットの目安となる縦横の印を付ける。
2 粗摺り(あらずり) ダイアモンドホイールに水をつけながら硝子を削り、大まかなデザインを決めていく。
3 三番掛け ダイアモンドホイールに水をつけながら粗摺りをもとに、より細かくなめらかなカットを施す。
4 石掛け 人工砥石や天然石に水を付けながら加工し、カット面をよりなめらかに仕上げていく。
5 磨き 木盤や樹脂系パッド等に水溶きした研磨剤をつけてカット面の光沢をだす。薬品に浸して光沢をだす(酸磨き)方法もある。
6 バフ掛け フェルトや綿など繊維の回転盤に研磨剤として酸化セリウムを水溶きしたものをつけ、磨きの仕上げをする。
江戸切子の多くは古典的な模様が刻まれています。そのモチーフは菊や麻の葉、亀甲、籠目など、日々の生活の中から取り入れられたものがほとんど。着物や手ぬぐい、刺繍など、今でも見かける馴染みのあるデザインが多くあります。日々の食器やインテリアとしても馴染みやすく使いやすいですよね。
見てみたい、買ってみたい、作ってみたいを叶えるには
<江戸切子協同組合 ショールーム>
こちらでは江戸切子について詳しく知ったり購入したりできます。
所在地 東京都江東区亀戸4-18-8 亀戸梅屋敷内
TEL. 03-3684-6321
月曜定休(祝日営業・翌日代休)
詳しくは公式ホームページをご確認ください
<株式会社 江戸切子の店華硝 (製造 有限会社 熊倉硝子工芸)>
こちらでは購入できるほか、スクールや体験、イベントなども行われています。
所在地 東京都江東区亀戸3-49-21 (製造1F 店舗3F)
TEL03-3682-2321
詳しくは公式ホームページをご確認ください
<すみだ江戸切子館>
こちらではおよそ350点を常時展示販売するほかにも、製造工程などの詳しいパネル展示や体験も行われています。
所在地 東京都墨田区太平2-10-9
TEL03-3623-4148
日・祝日休館
詳しくは公式ホームページをご確認ください
<浅草 おじま>
こちらでは購入できるほか、制作・体験も行われています。
伝法院店 浅草おじま
所在地 東京都台東区浅草2-3-2
*購入と製作体験の場所が異なります。
詳しくは公式ホームページをご確認ください
ガラスという儚さを感じさせる素材。繊細であり、また力強さをも感じさせるモチーフ。何とも江戸らしい粋を感じさせてくれますよね。見た目の「涼」を大切に、生活の中に取り入れて暑い夏を乗り切ってきた古くからの知恵も、ぜひ、今年は活用してみてくださいね。観光気分でお出かけも素敵。楽しくも涼しげな夏をお過ごしください。
参考
江戸切子共同組合