全国的に梅雨明け宣言が続き、いよいよ夏本番です。旅行にレジャー、様々な計画を立てていらっしゃることと思います。でも、暑さを避け、冷房の効いたお部屋で1日身体を休める日もつくりたいですね。そんな日は、夏らしいスカッと爽やか(?)な、海が舞台の映画を観賞するのはいかがですか。世界一有名な海が舞台の映画と言えば…やはり「ジョーズ」ではないでしょうか。それまで無かった「海洋モンスター映画」というジャンルを確立した「ジョーズ」。公開から42年、今観ても全く色あせていない名作です。42年たった現在も毎年のように数多の「海洋モンスター映画」が製作されています。
実は、サメロボット故障というアクシデントから生まれた「ジョーズ」の恐怖演出
「ジョーズ」の監督はご存知の通り、スティーブン・スピルバーグ。彼の長編劇場映画・第2作目の作品です。デビュー作「激突!」がヒットしたとはいえ、まだまだ製作費を集めるのは大変だったそう。もちろんまだこの頃はCGも無い時代です。水中で動かすサメのロボットを製作し撮影にのぞんだそう。しかし、せっかく作ったサメロボットは水につけた途端、故障してしまい使い物にならないというアクシデントに見舞われてしまったのです。もう一度作り直して撮影をし直すお金も時間も無かったスピルバーグは苦肉の策として、ロボットの一部分だけを映したり、直接サメは映らないけれどサメの目線となったカメラが人間に近づいていく…など、サメは映ってないのにサメを感じさせる演出に大幅に変更することになったそうです。しかしこれが功を奏し、あの独特な演出を生み出し、今まで観たことの無かった恐怖感を観客に与え、大ヒットにつながることになりました。筆者も、あの、テーマ曲とともに水着の女性に近づいていく、姿を見せないサメの目線の恐ろしさに度肝を抜かれ震え上がったのを覚えています。そんなアクシデントから生まれたとは…興味深いエピソードですね。
巨匠たちは、何故ヒゲをたくわているの?
ちょっと話は逸れますが、「ジョーズ」の監督・スティーブン・スピルバーグをはじめ、「スターウォーズ」シリーズのジョージ・ルーカス、「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」シリーズのフランシス・F・コッポラ、には共通点があります。それは、皆「ヒゲ」をたくわえていること。また若くして才能を開花させ大ヒット作品を送り出し、大作を手がけているのも共通点です。
スピルバーグ監督が「ジョーズ」を製作したのはなんと若干28歳の頃。主演のロイ・シャイダーはじめロバート・ショウなどベテラン俳優や、ひとくせもふたくせもある年上ばかりのスタッフたちを束ねるのは容易な事ではなかったそう。そんな時、先輩監督のフランシス・F・コッポラ(彼も32歳で「ゴッドファーザー」を監督)がスピルバーグに「ヒゲを生やせ。そうすれば、年上に見え貫禄が出て周りのスタッフにバカにされないぞ」とアドバイスしたという逸話があるそう。当時若手だったジョージ・ルーカスなどもこぞってヒゲを生やし始めたとか。男性のヒゲにはそんな効果があるのですね。そう言えば「タクシードライバー」を監督した当時の、若き日のマーティン・スコセッシ監督も立派なヒゲをたくわえていました。
たくさんの亜流を生んだ「ジョーズ」は、やはり伝説です
世界中で大ヒットした「ジョーズ」。その影響力も絶大でした。希望あふれる若き映画製作者たちは、海とサメ一頭(!?)あれば、こんなに面白い映画ができるのか、と次々にサメなどの海洋モンスターが登場する映画を作りました。海だけでなくワニやピラニアなど河の生物が人間を襲う映画も。断言できるのは、これらは全て「ジョーズ」が、原点になっていることです。陸の上では威張っている人類もひとたび海や河など水中に放り込まれれば呼吸もままならない無力な存在になってしまいます。大自然の中ではちっぽけな存在と化してしまう人間の恐怖はいつの時代も普遍的なものなのですね。「ジョーズ」公開から40年以上たった現在も、次々と新作が作り続けられている「海洋モンスター映画」。いつまでも楽しませてくれるのも納得ですね。
何度も観ている「ジョーズ」シリーズですが、また観たくなってきました。