トランプのクラブ(三つ葉のクローバー)の由来は?!
陽気な日差しが続く中、公園や自然広がるスポットにピクニック等おでかけを予定される方も多いのでは?
さてこの季節、クローバー(シロツメクサ)の群生を見ると、子ども時代のように四葉のクローバーを探してしみようかな。と思うことはありませんか?
昨年「オートファジー(自食作用)の仕組みの発見」でノーベル医学・生理学賞に選ばれた大隅教授も、四つ葉のクローバーを見つけるのも得意で、大学のキャンパス内で見つけては教え子や職員に「良いことがありますように」とプレゼントしていたというエピソードがメディアで紹介され話題となりましたね。
クローバーは、もともとギリシャ神話の英雄ヘラクレスが手にしていた3つのこぶがある棍棒(ラテン語clava)が語源で、古代ケルトのお守りとされていました。現代アイルランドでは「シャムロック」と呼ばれ国花として、さまざまなモチーフに使われています。トランプのクラブも由来は棍棒です。
私たちの生活にも身近なクローバー(シロツメクサ)にまつわる話を見ていきましょう。
ナポレオンの命を助けた四つ葉のクローバー
四つ葉は、成長点が傷つけられたためにできた奇形です。 公園や道端など、よく踏みつけられる場所で比較的見つけられるのは、このため。四つ葉のクローバーは針などで成長点を刺激することによって作り出すことができるようです。幸せは踏まれて育つのでしょうか!?
四つ葉のクローバーを見つけた人には幸運が訪れる、という言い伝えは、そもそもヨーロッパに古くからあり、夏至の夜に摘草をすると薬草や魔除けの力があると信じられていました。
三つ葉のクローバーは、キリスト教の三位一体や「愛」「希望」「信仰」にたとえられ、四つ葉のクローバーは十字架を表し、幸運をもたらすという言われはさらに広まったようですね。
アダムとイブがいた楽園はもともと四つ葉のクローバーのみだったそうで、楽園を追放された二人のお守りに神様がそっとクローバーを持たせたため、見つけたものは楽園のような幸せが訪れるとか。
ナポレオンが戦中みつけた四つ葉のクローバーを拾おうとかがんだ瞬間、敵の弾丸が頭をかすめ命拾いしたという話もあり、面白いですね。
クローバーの仲間なの?アカツメクサやレンゲやオキザリス・・・
クローバーの品種名は、「シロツメクサ」。和名で「白詰草」と書きます。江戸時代にオランダからガラスの器が送られた時、ガラスが破損しないよう箱の中に詰められていた草だから「詰草」。
その後「シロツメクサ」と「アカツメクサ」は、牧草として明治以降、本格的に日本に導入されました。「アカツメクサ」は「ムラサキツメクサ」「赤クローバー」といわれ、葉がやや大きめでとがっているのが特徴。
一方「レンゲ」は中国原産ですが、日本にはかなり古くから渡来しており、「蓮(はす)」の花に似た草、というのが名の由来です。
クローバーと呼ばれている「シロツメクサ」「アカツメクサ」と「レンゲ」はマメ科ですが、「レンゲ」は花の形も違いますし葉も小ぶりです。
また、最近四つ葉のクローバーとして鉢植えも販売されていますが、こちらは「オキザリス」というカタバミ(前回の雑草の話で登場しました)の仲間だそうです。
では、クローバーの偽物なの!?と思いましたが、アイルランドで、クローバー(シャムロック)といえば、葉が3つに分かれてるものの総称らしく、このカタバミもクローバーとして認識されているそうですよ。
「野良猫が多い村ではクローバーがよく茂る」というヨーロッパの諺の意味は?
これは思いもかけないものが関係していることを表現する諺で、日本でも「風がふけば桶屋が儲かる」という類似のものがありますね。
ヨーロッパではクローバー属が多く百種近くあるそうですが、かのダーウィンが「種の起源」の中で、アカツメクサを例に「野良猫がネズミを襲うと、ネズミに襲われていたマルハナバチが増えて、受粉によりクローバーが増える」と書いたことに由来するそうです。
クローバーは、レンゲとともに、日本でもハチミツで人気です。それぞれ少し味わいが異なり、レンゲはまろやかでほのかな花の香り、日本でもポピュラーです。一方、クローバーは世界的に人気でフローラルですっきりとした味わいです。
そういえば「ハチミツとクローバー」という作品も有名ですね。
3月に終了したNHK朝ドラの「べっぴんさん」では、四つ葉のクローバーを刺繡したハンカチが、娘の幸せを願う母の気持ちの象徴となって何度もでてきましたね。クローバーの四つの葉に、それぞれ「勇気」「愛情」「信頼」「希望」という意味があり、四つそろうと幸せになるということでした。
もともと三つ葉のクローバー自体「幸せ」や「強い力」の象徴ですから、見つからなくてもともと、慌ただしい毎日からふと離れて、四つ葉のクローバー探しに没頭してみるのも楽しいかもしれませんね。
どうぞよい連休をお過ごしください!
参考:「散歩が楽しく雑草手帳」稲垣栄洋著 東京書籍