
<日本生命セ・パ交流戦:阪神1-0オリックス>◇6日◇甲子園
劇的勝利よ、石井に届け-。阪神がサヨナラ勝ちで甲子園の「関西ダービー」初戦を制した。息詰まる投手戦が続く中、0-0の10回裏1死満塁、木浪聖也内野手(30)が一塁線を抜くサヨナラ打を決めた。9回に登板した石井大智投手(27)が頭部に打球を受けて緊急搬送された一戦。絶対に負けられないゲームで白星をもぎ取り、貯金を今季最多の12に伸ばした。今季13度目の完封勝ち、今季6度目の「1-0勝利」はともに球団最多ペースだ。
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木浪は静かに燃えていた。0-0の10回裏。1死二、三塁から直前の7番坂本が申告敬遠で歩かされた。「火が入りましたね」。満塁となり、最高潮に高まる甲子園の大声援。右手1本で低めの落ち球に必死で食らいついた打球は、ライン上に飛びつく一塁手のそばを抜けていった。
「いい時も悪い時もある。少し迷いがちだった時もあった。でも目の前で申告敬遠されたので。もう行くしかないと腹をくくって。最後、ああいう形でいけたのが一番良かった」
無安打で迎えた4打席目。カウント2-2、4番手川瀬の低め128キロ落ち球をしぶとく捉えた。自身にとって2年ぶり2度目のサヨナラ打。直近では5月31日広島戦を最後にHランプから遠ざかっていた中、21打席ぶりの安打だった。これで今季の満塁時は4打数2安打5打点。昨季4割7分1厘、16打点をマークした「満塁男」ぶりは今年も健在だ。
どうしても勝ちたかった。「(石井)大智のこともあったので、なんとか勝ちたいとずっと思っていました」。9回、オリックス広岡の痛烈なライナーが石井の頭部に直撃した。木浪はこの日、今季2度目の三塁先発出場。跳ね返った打球は、自身の守る三塁ファウルゾーンまで飛んできた。
「目の前で当たっているところを見たので。大丈夫かなという思いと、やっぱり勝つことがいい報告だと思った。そこだけを考えてやっていました」
直後の無死一塁にも、併殺を狙った二ゴロの送球間に走者広岡と遊撃小幡が交錯した。ベンチから飛び出した藤川監督はすぐに大声で抗議。結果的に守備妨害が認められ、走者広岡は警告を与えられた。仲間の負傷や、荒れた場面もあった一戦。最後は木浪がファンに笑顔を届けた。
チームは今季2度目のサヨナラ勝利。オリックスとの関西ダービー初戦をモノにし、貯金を今季最多の12に伸ばした。藤川監督も「何とか勝たなければいけないという気持ちがチーム全体に(あった)。最後は1つになれたかなと思いますね」とたたえた1勝。次戦も、一丸となって白星を目指す。【波部俊之介】
▽阪神大竹(7日先発。昨年6月12日の登板で敗れたオリックスを相手に)「スタメンがどういう感じで来るか。出る可能性がある選手はどういうスイングか、どういう意識がけで打席に入ってくるか、事前に知った上で勝負できるように」