11月もあと1日となりましたが、東京地方では、まだ今秋以降乾燥注意報が発表されていません(11月29日19時現在)。ですが、すでに乾燥に気をつけたいシーズンに突入していますので油断は禁物です。乾燥シーズンは、火の取り扱いをはじめ、肌トラブルや健康管理に注意するようにしましょう。
●「季節風」+「海」+「山」=太平洋側でカラカラに
秋の終わりから春にかけて、特に太平洋側では乾燥する日が多くなります。なぜこうした傾向が見られるかというと、冬になるとあらわれる大陸の乾いた冷たい空気(シベリア気団)から、日本に向かって季節風が吹きます。季節風は日本海からたっぷりと水蒸気を補給し、雪雲に発達して日本海側の地域に雪を降らせます。季節風が山を越えると乾燥して雲が消えてしまうため、太平洋側ではからっ風が吹き、乾いた晴天の日が多くなります。いわゆる「西高東低の冬側の気圧配置」のときは、こうした傾向が強くなります。衛星画像を見てみると、日本海側にびっしりと筋上の雲が並んでいるのに対して、関東地方ですっきりと晴れている様子がよくわかりますね。そしてきょう29日も、同様に西高東低の気圧配置となりました。
●東京地方はまだ乾燥注意報が発表されず・・・
『地震、雷・・・』とことわざにあるように、火事は、昔から他の天災に匹敵するほど恐ろしいものとされています。そんな火事への注意を呼びかける際、気象庁では乾燥注意報を発表しています。乾燥すると、火事が発生しやすくなったり、発生した火事が広がりやすくなります。このため、火の取り扱いに注意を促すための情報が乾燥注意報です。
乾燥注意報の発表基準は地域によって異なりますが、例えば、東京地方の場合は”最小湿度25%で実効湿度50%”です。地域によっては、風速などが考慮される場合もあります。最小湿度とは、一日において最も小さな湿度(いわゆる相対湿度)の値のことです。一方で、実効湿度とは「木材の乾燥度」を表すもので、当日と前日の平均湿度を使って計算したものです。
ちなみに、実効湿度が50%を下回ると、マッチ1本で木材に火がつくと言われています。また、最近はオール電化のご家庭も増えましたが、火を使っていないからと安心するのも危険です。乾燥すると静電気が起こりやすくなり、その火花が火種となることもありますので注意が必要です。
下の図にも示すとおり、東京地方の乾燥注意報の発表日数は、1981年から2010年の30年平均でみると、11月から徐々に増え始め、真冬にピークを迎える傾向があります。さらにここ数年の発表状況(下図)を見てみると、ほぼ11月から発表されており、昨年においてはすでに10月に発表されていましたが、今秋はまだ乾燥注意報が発表されていません(11月29日19時現在)。ですが、油断をせず、すでに火の取り扱いに一層注意が必要な時期が始まっていることを心掛けるようにしてください。
※こちらで示したものは、あくまで過去の発表状況です。また夏場だからといって乾燥注意報が発表されないというわけではありません。常に最新の気象警報・注意報の発表状況を確認するようにしてください。
●乾燥シーズンは「火の取り扱い」以外にも「肌トラブル」や「健康」などに注意
もとは火の取り扱いに注意を促すための乾燥注意報ですが、乾燥シーズンは他にも注意すべきことがたくさんあります。"湿度"は私たちの生活のさまざまなところに影響します。湿度を考慮した指数情報で、天気予報と同じようにこの先一週間の注意度を知ることができます。関東甲信地方のこの先の各指数を見てみましょう。
【美容面】
”乾燥”と聞くとゆううつな気分になる女性の方も多いはず。乾燥によって肌がかゆくなったり、シワや毛穴が目立ちやすくなったりと、肌トラブルのお悩みが多くなります。そんな方は、「うるおい指数」を参考に、その日のランクによってお肌のお手入れ方法を調節してみるのもよいでしょう。あす30日(水)は午前中は晴れますが、午後から次第に下り坂です。内陸部ほど乾燥しやすくなるでしょう。その先も雨が降る1日(木)以外は、内陸部を中心に潤いが低めの日が続きそうです。しっかりとお手入れをしてください。
また、乾燥は紫外線との影響も相まって肌のシミを悪化させるといわれていています。こうしたリスクは「シミ・リバウンド指数」で確認することができます。あす30日(水)からあさって1日(木)にかけては各地ともリスク低めですが、2日(木)以降はリスクがやや高い日が続くでしょう。油断は禁物です。
【健康面】
また健康面では、空気が乾燥するとウイルスの生存率が高くなります。さらに、のどの粘膜が乾燥すると免疫機能が低下してしまうといったリスクがあります。「風邪ひき指数」を見てみると、あす30日(水)は、関東太平洋側の地域では低めですが、内陸部ではややランクが高くなっています。一方「のど飴指数」は、関東太平洋側の地域で最大ランクの『厳重警戒』となる見込みです。健康管理はその場しのぎではなく、日々継続させることがとても大切です。今から手洗いうがい、加湿などの対策を取り入れるようにしましょう。
このように”乾燥”がもたらすリスクはさまざま。天気予報を見るときは、ぜひ指数情報も合わせてチェックしてみてくださいね。