
<巨人4-1DeNA>◇23日◇東京ドーム
すでにレジェンドの風格が漂う。巨人岡本和真内野手(29)が2打席連続弾を放ち、DeNAに快勝。5回に先制の10号ソロを放つと、7回には貴重な追加点となるバックスクリーン左への11号ソロをかっ飛ばした。4番としての8年連続2桁本塁打は58~64年、66~72年長嶋茂雄の7年連続を抜き、王貞治(9年)、原辰徳(8年)に次いで球団3人目の記録となった。チームは3連勝を飾り、6月29日以来の貯金「2」とした。
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これほど4番が似合う男はいない。岡本が試合の均衡を破る一撃を放った。両チーム無得点のまま迎えた5回の攻撃。先頭打者として打席に立つと、DeNA石田裕の121キロ外角寄りのシンカーをすくい上げた。打球は左中間最前列に飛び込む先制ソロとなり「追い込まれていたので食らいついていこうと思った。形は良くなかったかもしれないですけど、本塁打になってくれて良かった」と胸をなで下ろした。
ミスターを超える1発にもなった。4番として8年連続2桁本塁打は長嶋茂雄の7年を抜いて球団3人目。左肘靱帯(じんたい)損傷からの復帰戦となった16日「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」の試合前には生前の長嶋さんについて「(実際に会った時の)オーラがめちゃくちゃすごくて」と話していた。そんなレジェンドの記録を抜き「そういうのが(記録)あるというのは、もちろん知っているわけじゃないですけど。やっていく中でそこに名前が残るというのは、すごくうれしいことですし、すごい先輩がたくさんいるのでそういう人たちに追いつけるように頑張りたい」と力を込めた。
ミスターを超えた男のバットはとどまることをしらない。7回1死の第3打席。石田裕の甘く入ってきたスライダーを捉えた打球は、バックスクリーン左に飛び込む2打席連発弾。打った瞬間に確信する特大アーチに「2本目の方がしっかり捉えられた」とうなずいた。
不動の4番が1軍に戻ってきてからチームは7戦4勝。阿部監督も「いやもう、素晴らしいホームラン2本でね。はい、素晴らしかったです」と最敬礼を送る。それでも岡本は「まだそんなしっかりと打った打席が多いわけじゃないので、しっかり頑張りたい」。背番号25の背中が大きい。【水谷京裕】
▼岡本が5回に決勝点となる先制本塁打。岡本の勝利打点(V打)はこれで3試合連続。3試合続けてV打は23年6月11~14日、24年7月6~9日に次いで自身3度目。巨人で3試合連続V打を3度も記録したのは96年8月、97年8月、02年7月にマークした松井以来、2リーグ制後2人目。ちなみに、王は68年4月と78年7月(4試合)の2度で、長嶋は3試合連続V打が1度もなかった。
▼岡本は今季の11本塁打はすべて4番で打っており、18年から8年続けて4番で2桁本塁打。巨人の4番で8年連続10本塁打以上は、72~80年王の9年、85~92年原の8年に次いで3人目。58~64年、66~72年と7年を2度記録した長嶋を、連続年数で上回った。