
<真夏のライラック:弘前学院聖愛・成田翔音捕手(3年)>
<全国高校野球選手権:西日本短大付4-3弘前学院聖愛>◇9日◇1回戦◇甲子園
甲子園の地で、胸に刻まれた「聖愛」の文字が輝いていた。弘前学院聖愛(青森)は4回に2ランで先制されるも、その裏すぐに追いつき、なおも2死三塁で成田に打席が回ってきた。追い込まれたあとの5球目のスライダーを左前に運び、一時勝ち越しに成功した。「バットの先だったんですけど、ボールに力が乗ってくれました」と話した。
昨夏青森大会は聖愛ではなく、〝柏愛(はくあい)〟の選手として出場した。5人以上の部員がいれば、合計10人になるまで他校から借りることができる「単独廃校ルール」を適用した柏木農の助っ人だった。柏木農の「柏」と、弘前学院聖愛の「愛」を取り〝柏愛〟と呼ぶ。練習試合ではほとんど勝てなかったチームが、本大会は初戦敗退とはいえ、延長までもつれる戦いを演じた。他校の選手と過ごした時間が、成田の視野を広げてくれた。
今夏は弘前学院聖愛で正捕手の座をつかみ、4年ぶりの甲子園出場を果たした。「今の自分がいるのは、あの経験があったからです」と1年前を思い返し、続けた。「柏愛の思いも背負って甲子園に来たので、何としても1勝はしたかったです」とぽつり。それでも、センバツ8強相手に好ゲームを展開。勇姿は青森にも届いた。【木村有優】