
<高校野球宮城大会:東北学院榴ケ岡4-3石巻>◇17日◇2回戦◇石巻市民球場
ドラマは9回に待っていた。東北学院榴ケ岡が第5シード石巻に逆転勝ちした。0-3の9回に4得点を挙げ、3回戦進出を決めた。佐々木貴紀監督(49)も「ミラクルです」と笑みがはじけた。
同点に追いつき、なおも2死三塁の好機。3番・後藤翔太内野手(3年)が高め直球を捉えた当たりは、左中間を破る勝ち越し適時二塁打となった。二塁ベース上ではベンチに向かって大きくガッツポーズ。「うれしすぎて、実は全然覚えてなくて…」。喜びが爆発した。
背番号発表の際には、1人ずつ決意表明の場が設けられた。そこで後藤は「チャンスで打ちます」と宣言してた。まさに、有言実行打。チームの危機を救うヒーローとなった。
昨秋は宮城3位で東北大会に出場。だが、今春は地区大会敗退に終わり、夏に向けて不安もあった。それでも「落ちるところまで落ちたから、あとは上がるだけ」と、この夏の勝利だけを見据えて、ミーティングを重ねてきた。「ベンチに入れなかった3年生のためにも絶対に勝ちたいです」。どん底から這い上がったチームが、残り4勝をつかむ。【木村有優】
○…エースが帰ってきた。けがから復帰した佐々木健斗投手(3年)が今夏初登板。4安打11奪三振3失点で完投。チームで決めた「3失点まで」を守り切り、逆転勝利を呼び込んだ。3失点は想定内も、8回まで無得点が続き不安を感じていた。「0が続いたので正直『ダメかも…』と思いましたが、9回に逆転して、本当にこのチームは持っているなと思いました」と笑顔で振り返った。