
<阪神5-2ヤクルト>◇12日◇甲子園
しぶとく一、二塁間を破った。4回無死一、三塁のフルカウント。小幡竜平内野手(24)は外角の直球を引っ張った。相手二塁手が打球をめがけて飛び込むも届かず。今季初の決勝打となった。
「なんとかコトを起こそうと。必死に食らいついていった結果だと思います」
2点を先制された直後の4回。無死満塁として、大山の2点適時打で追いついた。チャンスは続き、小幡が右前適時打。リードを奪った。「大山さんが2点を取ってくれて気持ちは楽でした。デュープ(デュプランティエ)がいつも頑張ってくれている。勝ちをつけたいと打ちにいきました」。打線がすぐに逆転。藤川監督も「何かあるかもしれないと感じさせてくれる一体感がある」と評価した。
1点リードの8回は2死走者なしから大山が四球。続く小幡の打球は左中間を破った。適時二塁打で点差を広げた。「大山さんが必死に走ってくれて感謝しています」。今季初めて1試合で複数の適時打をマーク。2戦連続打点でキャリアハイの10打点に到達した。
悔しい離脱期間も糧にした。今季は開幕スタメン入りを逃すも、4月中旬から先発出場が連続。遊撃レギュラーの座をつかみかけていた。そこで待っていたのが故障。連続スタメン18試合目の5月11日中日戦で途中交代した。翌日に左下肢の筋挫傷で出場選手登録を抹消。2軍施設で調整を続ける日々も前を向いた。
「治す中で、できることや、体の部位や必要なことの知識が増えた。ケガの原因を突き詰めた」
自由に動けない中で、改めて自身の体を見つめ直し、学びを得た。チーム全体で行うウオーミングアップよりも前に準備するように改善。体と向き合う時間を増やし、強化した体で躍動した。
チームは前日11日に連勝が「11」で止まったが、逆転勝ちで両リーグ最速で50勝に到達した。指揮官は小幡に「何度もはね返されながらやっている中で、まだこれからそういうことがあるかもしれない。ただ、勝負強さを見せてきて、みんなベンチで感じるものはある」。守備の貢献度も高い男が打撃で活躍。この底力が猛虎の強さだ。【塚本光】