
若大将が西武の“打てない地獄”を止めた。連敗も4で止めた。渡部聖弥外野手(22)が6回、決勝の逆転2ラン。「絶対に自分が決めてやろうと打席に入りました」。打球は、この上なく美しい角度で左翼席へ吸い込まれた。バットに手首で回転を加えて落とし、ヒーローは1周へと走り出した。
10試合で3安打。プロ入り後、初ともいえる苦しいスランプ。「想像以上に長く感じました。打てない期間が」と振り返るほど湿った。この日はバットを少し軽めにした。初めてクリーンアップ以外の、6番スタメン。「6番で使っていただいてこうやって打てるんで、監督の采配だと思います」と感謝した。
歓喜と興奮の三塁ベンチへ戻ってくると、俗称クソデカネックレスをヒーローの首にかける儀式。主任担当の元山が2軍再調整となったため、児玉が代行したが「興奮しすぎちゃって」と、渡部聖の首にかける直前にレオの顔のチャームが落下。単なる太めの金色のネックレスを首にかけ、素晴らしい打球の余韻に浸った。
そんなハプニングになるほど、西武にはうれしい一打だった。5得点以上は11試合ぶりだ。獅子党が早くも熱唱してくれる待望の新応援歌に1発回答。「本当に価値ある勝利だなと思います」とし「若大将らしくチームを引っ張って行けたら」と熱い。なお元山によると、同ネックレスが壊れたりするとチームの勝利が増える傾向があるといい、その点においてもデカい値千金の1発だった。【金子真仁】