
<阪神6-0ヤクルト>◇29日◇神宮
勝敗を分けたのは阪神守備陣の周到な準備だった。 先発の伊藤将司投手(29)が初回、2死ながら一、二塁のピンチを背負った。表に森下翔太外野手(24)のソロで先制。ここは絶対に抑えて、流れをつかみたい場面だった。
打者の増田珠外野手(26)に対してカウントは2-2。5球目を投げる前に、ベースを離れていた一塁手の大山悠輔内野手(30)が一塁走者ホセ・オスナ(32)の背後からベースに走った。
屈指のけん制技術を持つ伊藤将がタイミングよく一塁に投げ込む。判定はセーフだったが、大山は確信を持ってすぐにベンチにリクエストを要請。結果、アウトに覆った。好判断が光った大山は「そうですね、大きかったと思います」と、試合のポイントになったと振り返った。
チームとして用意したサインプレーとみられる。2死のため、一塁走者は長打なら一気に本塁突入を狙う。前がかりになる心理を読み切って、狙い済ました。
苦い経験を生かした。12日の西武戦(ベルーナドーム)。3点を追う8回1死満塁で一塁走者の佐藤輝明内野手(26)が同じようなピックオフプレーにかかってアウトになった。
阪神は交流戦終了後の4日間を利用して2度、室内練習場を閉め切って、連係プレーの確認を行っていた。藤川球児監督(44)は詳細について触れないが、ピックオフプレーの確認も含まれていた可能性がある。
この1プレーに救われた伊藤将は3回以降無安打で2安打完封勝ち。快勝で6月を締めくくった。