
<全日本大学野球選手権:青学大5-0奈良学園大>◇12日◇1回戦◇神宮
史上初の3連覇を狙う青学大(東都)が、5-0で奈良学園大(近畿学生)を破り準々決勝に進出した。今秋のドラフト候補、エース中西聖輝投手(4年=智弁和歌山)が7回被安打1と相手打線を圧倒。次戦は北海学園大(札幌学生)と対戦する。西南学院大(九州6大学)は日大国際関係学部(東海地区)に逆転勝ちで8強入りを決めた。
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理想の試合展開をエースが演じた。初回と最後は全力でいく“入りの1とツメの1”。青学大の安藤寧則監督(48)が、いつも選手たちにかける言葉だ。
1点先制し迎えた1回。先発の中西は、1死から左前打で走者を背負うと「これで緊張がとけた」と、一気にギアを上げた。150キロ、143キロの真っすぐで、後続を打ち取り“入りの1”を完成。これで波に乗ると、2回には得意のフォークで3者連続の空振り三振。配球を「偏らせないのが僕の投球」と2回以降は無安打投球。7回も3者凡退で“ツメの1”を完結し、マウンドを降りた。
この冬は「打者を圧倒する質、威力の真っすぐ」を課題に取り組んできた。下半身のウエートを中心に、連投の力、フォームの再現性を高めた。ブルペンに入ると必ず主将の藤原夏暉内野手(4年=大阪桐蔭)が打席に入り、打者目線でアドバイス。試合感覚を磨いた。「真っすぐに対して自信を持てるようになって、カウントが悪くなっても腕を振れるようになった」と、四球が激減した。
昨年、大学4冠を達成した。苦しいときには、昨秋、新チーム発足時に、藤原らと語り合ったシーンを思い出す。「俺たちの代でもう1度、同じこと(大学4冠)をやりたいなと話した。それを思い出せば、どんなに苦しくても気持ちを切り替えられる。逃げない…いや、逃げるつもりもないですけどね(笑い)」。エースの投球で、大会史上初の3連覇へ。「今日から(優勝までの)4連戦を駆け抜けたい」。頼もしく輝いた。【保坂淑子】