
<日本ハム3-4ソフトバンク>◇22日◇エスコンフィールド
日本ハムの2年目右腕・孫易磊(スン・イーレイ)投手(20)が、デビュー戦で2回を1安打無失点に抑え、初ホールドをマークした。支配下契約が発表された日に、同点の9回から登板。故郷・台湾から家族も応援に駆けつけた中、最速152キロの速球とキレのある変化球を武器に、強力ソフトバンク打線を封じた。チームは延長11回に池田が決勝弾を浴び、7カードぶりの負け越しとなった。
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「台湾の至宝」が、エスコンフィールドの空気を変えた。同点の9回、支配下登録されたばかりの孫易磊がマウンドへ。初球、150キロの速球でストライクを奪うと、3球目にはこの日最速の152キロをマーク。緒方、山川、渡辺を3者凡退に斬った。「思ったよりは緊張せずに、落ち着いて投げられたかなと思います」。続く10回も続投し、2回1安打無失点。初登板で初ホールドを手にした。
9回を終えてベンチに戻ると、同じ台湾出身の古林睿煬から、次のイニングへ向けたアドバイスをもらった。中村のボテボテの打球が内野安打となり走者は背負ったが、最後は栗原をスプリットで一ゴロに仕留めた。「振らせたいボールは全部振ってもらったのでよかった」。手応えをつかむ23球になった。
「みなさん、こんにちは。私は日本ハムファイターズ、背番号96番の孫易磊です。これからよろしくお願いします」。試合前に行われた支配下登録発表の会見では、冒頭に流ちょうな日本語で自己紹介した。来日2年目、すでにチームメートとは日本語でコミュニケーションを取る。台湾でもアニメが放送されていた人気ボクシング漫画「はじめの一歩」が大好き。「(主人公・一歩の)苦しいときに踏ん張れるところが好きです」と言うが、同点の9回から2イニングを抑えた姿は、チームの窮地を救うまさにヒーロー。「メンタルには自信があります」の言葉通り、堂々とマウンドに立ち続けた。
降板後にチームは敗れたが、首位を走る日本ハムに、またひとり頼もしい戦力が加わった。新庄監督も「いい度胸してますよね。しっかり抑えてくれました」。スタンドで両手を振った家族だけではなく、本拠地ファンも快投に酔いしれた。【本間翼】
▽日本ハム加藤投手コーチ(デビュー戦で2回無失点の孫易磊に)「もう十分です。あんな展開で2イニング投げられるんですから。度胸もありますし、抑えるだけのボールの質も持っている。(まずは中継ぎで)いろいろ勉強してもらいたい」