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「こんなの野球じゃない」バーランダーも憤慨するストライクゾーン縮小…じわじわと影響広がる


2023年シーズン、MLBはストライクゾーンを縮小するルール変更を行い、その影響が選手たちに波及しています。この変更は、審判の評価基準が変わり「バッファゾーン」が狭くなった結果、投手や捕手に難しい状況をもたらしています。ジャスティン・バーランダーは力強い速球が得意な投手が増え、伝統的な野球とは違う形になっていると語っています。彼は高めのゾーンでのストライク率が低下し、今季10試合で未だ白星がない状況です。また、フレーミング技術が評価されてきた捕手も苦戦を強いられています。一方、打者には有利になっており、大谷翔平やアーロン・ジャッジらが抜群の成績を残す可能性が指摘されています。

ジャスティン・バーランダー(2022年7月撮影)

MLBでは今季、ストライクゾーンが縮まるという衝撃のルール変更が行われ、じわじわと影響が出ているようだ。

ストライクゾーンの変更を最初に伝えたのは米専門メディア「ジ・アスレチック」の5月1日付の記事。昨オフにMLBが審判組合と新労使協定を結んだのだが、その中で審判の評価基準が変更となり、それがストライクゾーン縮小につながっている。MLBは審判の評価を試合ごとに行っており、ストライク判定の正確さを評価する上で、実際のゾーンより左右計2インチ(約5センチ)広くストライクコールをしてもマイナス評価にならないという「バッファ(ゆとり)ゾーン」が存在していた。だが、新労使協定でそのバッファゾーンが1・5インチ(約3・8センチ)に縮まり、上下に関しても同様の縮小が行われた。これについてドジャースのデーブ・ロバーツ監督が「報道で初めて知った」と話すなど、ほとんどの球団にとって寝耳に水だったため、球界が騒然とした。

この変更で厳しい立場に立たされるのはもちろん、投手だ。サイ・ヤング賞に3度輝いた現役レジェンドの先発右腕ジャスティン・バーランダー(42)は地元紙マーキュリー・ニューズの取材に、率直な思いをこう吐露している。

「101マイル(約162キロ)の速球と良い変化球を持つ投手がいれば先発させて、ど真ん中に力の限り速い球を投げさせる。打線2巡目が終わったら、次にブルペンから100マイル(161キロ)を投げるリリーフをマウンドに上げる。ストライクゾーンを縮めたということは、MLBはつまりそういう野球を望んでいるわけだよね。だが僕からしたら、こんなの野球じゃない。少なくとも僕が知っている、僕が愛している野球とは違うし、これをファンが望んでいるとも思わない」

ジ・アスレチックの5月3日付の記事によると、バーランダーは高めゾーンの際どいコースでストライクを取ることにたけており、昨季は高めの「バッファゾーン」のストライク率が54.8%だったが、今季はそれが19.5%にまで落ちているという。ルール変更によって持ち味を封じられたバーランダーは今季開幕から10試合登板したところでいまだ白星なしの3敗、防御率4・33と苦戦している。

捕手についてはフレーミングで高い評価を受けていた選手が、ゾーン縮小によってそれを発揮できなくなっている。その1人であるジャイアンツのパトリック・ベイリー捕手(25)は今季、守備防御点の指標が大きく低下。ドジャース一筋に10年以上プレーしフレーミングに定評のあったオースティン・バーンズ捕手(35)は突如戦力外になったが、これもフレーミング能力の重要性が低下したことが影響しているのではないだろうか。

一方で打者は恩恵を受けるので、今季はドジャース大谷翔平投手(30)やヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(32)らがこれまで以上のとんでもない数字を残す可能性もある。実際にジャッジはリーグトップタイの15本塁打を放ち、5月下旬に突入しようかというこの時期にまだ打率4割をキープしている。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)

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