
<ヤクルト2-1巨人>◇11日◇神宮
甘くない相手を料理した。ヤクルト吉村貢司郎投手(27)が8回4安打1失点で2勝目を挙げた。3月29日に2回途中7失点をくらった巨人を相手に苦い記憶を払拭。自己最多タイの10奪三振による母の日の勝利に「いつも感謝しかないので、本当にいい形で(母に)報告できてよかった」とかみしめた。
甘い卵焼きがおふくろの味だ。22年のドラフト指名直後、母身知子さんは都内で卵焼き屋をオープンさせた。「甘い卵焼きなので。冷めても、温かくてもおいしいです」。実家に戻れば、だし汁がたっぷり入った自家製の厚焼き卵をほお張る。日大豊山(東京)時代に持参した2食分の弁当にも肉料理とともに入っていた、定番の一品だった。
甘くなり過ぎないように、細心の注意を払った。4回1死一、二塁では甲斐を112キロカーブの後、高めボールの148キロ直球で空振り三振。続く増田陸は137キロフォークを見せた後に、高めボールの147キロ直球で2者連続の空振り三振に切った。直球と変化球を絶妙なあんばいで交え、投球を味付けした。「いいリードをしてもらった」。中村悠に引き出してもらった、うまみへの感謝も忘れなかった。【上田悠太】
▽ヤクルト高津監督(好投の吉村に)「開幕の頃に比べ、数段良くなった。真っすぐも変化球も指にかかった球が増えた。あの時はちょっと厳しい決断だったが、(3月30日から約2週間)ファームに落として良かったと、試合中に思った」