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【ダブル解説】里崎智也&田村藤夫が中日岡林勇希の走塁と守備の判断に迫る 初回の攻防の明暗


阪神が中日に2-0で勝利した試合では、初回の攻防が大きなポイントとなりました。中日の岡林選手は1回表で二塁からホームを狙うも、阪神の森下選手の好返球でアウトになりました。評論家の田村氏は、岡林が打球判断をさらに磨く必要があると指摘しています。また、里崎氏は「一瞬の判断」の重要性に焦点を当て、岡林の走塁において自らの状況判断が不十分だったと述べました。対する阪神は、1回裏に森下のヒットで中野選手がホームインし、チャンスを確実に生かしました。このように初回の攻防が試合の流れを決定付けました。

阪神対中日 1回表中日1死二塁、上林の安打で生還を狙うも森下の好返球で憤死する岡林。捕手は坂本(撮影・上田博志)

<阪神2-0中日>◇10日◇甲子園

日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(48)と田村藤夫氏(65)による「ダブル解説」の3回目です。同じ試合を捕手出身の両氏がそれぞれの視点で解説します。

【田村藤夫】

開幕投手の投げ合いで、ロースコアはわかっていたことだ。こういう時、初回の攻撃が試合の行方を大きく左右する。その鉄則は両チームともによく理解していたはずだ。その上で指摘するなら中日は初回1死二塁。上林の右前打で、岡林が生還できなかったことが痛恨だった。

冷静に振り返ると、1死二塁でカウント1ボール。落ちるボールを上林はひっかけるように右方向を意識した打ち方だった。強いゴロでもライナーでもない。ほぼボテボテだが、飛んだコースが良かった。中野がギリギリで追い付かず、右翼森下が捕球するまで時間を稼げる球足だった。

二塁走者の岡林は、リードしつつ、村上が足を上げたところでさらにリードを広げ、ほぼ三遊間の真ん中付近まで到達し、そこで上林の打球を確認し、右方向への緩いゴロだと分かれば、岡林の足なら楽々セーフという場面だった。

三塁を回ったところでバランスを崩していたが、私の目にはあの当たりならば、ほぼ間違いなくセーフだろうと、確信に近いものがあった。それだけに、岡林はさらに打球判断を磨くべきと感じる。あれが、強烈なゴロや、ライナー性の打球ならば、判断にも迷いが出てくるだろうが、そこを踏まえると、勝敗を分けるプレーになった。

また、その裏の守りで1死から中野が二塁打を放つのだが、打った瞬間にレフト鵜飼の動きが気になった。私には、センター岡林に委ねたいような動きに感じた。私の目にはそう映っただけかもしれないが、あそこは打球に真っすぐチャージしてほしい。

最終的に鵜飼が処理したが、最初から全力でチャージしていればセカンドはきわどかったのではないか。センター岡林からすれば回り込んで右足で踏ん張って二塁に送球しなければならない。鵜飼は大きく体勢をひねらず、送球できたことも加味すると、結果は二塁打になったかもしれないが、初回のチャンスをつぶしていただけに、アグレッシブさが欲しかった。

エース対決といえども、立ち上がりは最大のチャンス。そこで、確実に1点を奪う走塁ができるか、走者に先の塁を与えない激しいチャージができるか。その小さな差が1点となって現れる。殊に中日はこうした僅差の試合をものにする戦いが続いている。余計に、ワンプレーの精度を高めること、その必要性を感じさせられた。(日刊スポーツ評論家)

【里崎智也】

村上が素晴らしいピッチングで阪神が快勝したと、見えるかもしれないが、私の目には初回の両チームの攻防に、この試合に限り、一瞬の判断の差がうかがえた。

中日は初回1死二塁。上林が一、二塁間を破るヒット。岡林はホームを狙うが、完璧にアウトのタイミングだった。岡林は三塁を回ったところでつまずいている。回したサードコーチの判断は当然だが、つまずいた岡林自身が、ここは自分で判断すべきだ。

まだ1死だったこと、そして主軸に回ること、そしてつまずいている岡林自身が、アウトのタイミングだと自己判断しなければならない。かつ、ここで上林が一塁でストップしている。上林は岡林の走塁、森下の返球が視野に入っているはずだ。ならば、一塁大山がカットする可能性を念頭に、二塁を狙わないと。

それがおとりの動きになり、岡林の走塁をアシストできれば最善の判断となり、たとえ岡林がアウトになっても二塁に進んでいればまだチャンスは残った。森下の返球が良かった、という表面的なことではない。

阪神はその裏、1死二塁から森下の中前に落ちるヒットで中野が生還する。ここでもセンター岡林は森下が打った瞬間に1、2歩下がってから前進した。中野はその動きを視野に入れ、楽々ホームに帰っている。

岡林ばかりを責める意図はないが、ここでも打った瞬間に思わず下がってしまったことで、中野に走塁でのアドバンテージを与えてしまった。逆に、1歩目を前に踏み出す判断ができれば、あそこまで余裕をもって三塁を回ることはできなかったのではないか。少なくとも、私の目にはそう映った。

極め付きは6回2死三塁から佐藤輝のダメ押しタイムリーの場面だ。2ボールとなったところで、中日バッテリーは四球やむなしの部分はあったと想像する。それが3球目にボール球のカットボールで空振りを奪い、フルカウントに持ち込んだことで、欲が出てしまったのではないか。

最後、外角真っすぐはストライクゾーン。佐藤輝はバットを当てるような軽打で左中間を破った。フルカウントからも、2ボール時の四球やむなしの気持ちを失わず、もう少し広いゾーンで、との考えがあれば、あの2点目はどうなったか。粘れる可能性は残したと感じた。

私は捕手だったため、走塁までの前段階としての野手、あるいは走者の細かい動きを、同時進行で見る習性がある。その感覚から言わせてもらうと、この試合では両チームの一瞬の判断の良しあしに明暗を感じ取った。(日刊スポーツ評論家)

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