
<明治安田J1:G大阪4-0湘南>◇3日◇第14節◇パナスタ
ガンバ大阪FWデニス・ヒュメット(28)が、電光石火の2戦連発弾でゴールラッシュの口火を切った。
前半2分、ハイボールを頭でそらせてMFファン・アラーノ(28)に預けると、再び受け取ってドリブルで前進。思い切って左足を振り抜くと、放たれたシュートがゴール左上に突き刺さった。29日京都サンガF.C.戦に続くゴールに「自分の前にスペースがあって進んだ時点で、右足をケアされているのを感じた。左が空いていたこともあって、左足が選択肢になった」と冷静に振り返った。
力強さと技術が詰まった左足での強烈弾は、チームメートにとっても驚きの一発だった。日々の練習からヒュメットの印象を「右足のシュートは良いものを持っている」と話す選手が多かったが、左足は本番でほぼ初お披露目だったようで、DF福岡将太(29)は「あんなシュートを持っているとは思わなかった」と驚き、FW宇佐美貴史(32)は「今後出ることはないんじゃないですか(笑い)」と冗談を言うほどの衝撃を受けた。宇佐美はそう言いながらも「(練習で)見たことはないけど、そういうのが出る選手ということ。練習で見たことないようなのが試合出るストライカーはまれにいる」と話し、覚醒した助っ人のポテンシャルの高さも評価した。
普段見せていなかった秘技については、ヒュメット自身がその理由を明かした。「前にブルース・リーが、1万回キックを練習した選手、人間の方が脅威になると言っていた。だから自分は右足をしっかりとやっていきたいと思って、左はあんまり打っていなかった」。右足に集中していたのは、伝説的アクションスターの教えからだった。
特に隠していたつもりはなかったようだが、左足でもこの日のような一発が決められることがわかったことは、G大阪にとってポジティブ材料。ゴールパフォーマンスでは愛するバットマンのまねをする「バットマンポーズ」を決め、ブルース・リーも崇拝するヒーロー好きなストライカーは、この2戦連発でG大阪のヒーローになる道を歩み始めた。【永田淳】