
<ブレーブス1-2ドジャース>◇2日(日本時間3日)◇トゥルイスト・パーク
【アトランタ(米ジョージア州)2日(日本時間3日)=斎藤庸裕】ドジャース山本由伸投手(26)が、“MVP級”の投球で4勝目を手にした。敵地でのブレーブス戦に先発し、6回1安打無失点。6回2死まで無安打に抑え、三塁を踏ませない投球で圧倒した。試合前には大リーグ機構(MLB)の発表で、ナ・リーグ月間最優秀投手に初選出。日本人選手のパイオニア、球団OB野茂英雄氏(56)のメジャーデビューから30年。米球界で名をはせる投手が、また1人現れた。
◇ ◇ ◇
MVP級の、ショータイムだった。山本はフォーシーム、魔球スプリット、カーブを軸にブ軍打線を手玉にとった。6回2死まで無安打投球を続け、ロバーツ監督が「ノーヒッター級の球」と驚く圧倒的な投球を見せた右腕は「元々ストライクゾーンで、どんどん勝負していくスタイル。より自分のピッチングができてる証拠かなと思います」と胸を張った。
持ち味の制球力を生かした。ストライク率65・9%は3月18日の開幕戦(66・7%)に次ぐ高い数値。ストライク先行で優位に立つと、ボール球を使って振らせた。4回1死一塁、4番オルソンには内角高めの速球を2度空振りさせた。いずれも、捕手スミスの要求通りにきっちり制球。全球種をほぼ思い通りに操り「今年は安定した状態で良いボールを、どの球種も投げられている」と手応えを口にした。
両リーグトップの防御率0・90とし、日本人初のサイ・ヤング賞獲得に期待が膨らむ。今季はここまで7試合の登板で5度、チーム休養日の翌日に登板。調整の難しさもあるが、捉え方は「前日に移動があることは事実でしかないので。とにかく割り切って。こういうもんだと、マイナスな感情を持たずに調整しました」と前向き。マクギネス投手コーチ補佐が山本の好調の要因として「メジャー球への適応」と時差が伴う移動への「慣れ」を指摘したように、登板間の変則日程も関係なく、高いパフォーマンスを維持している。
敵地で続く10連戦の初戦に先発し、チームを6連勝に導いた。投球術だけでなく、守備でも2回、5番マーフィーの強烈なライナーを瞬時の反応でキャッチ。敵地を沸かせたが、「たまたま、たまたま。見えなかったです」と笑いながら謙遜した。ブ軍打線を圧倒し、今季4勝目。登板を重ねる度に、みなぎる自信と周囲の信頼感が増している。