
カブス鈴木誠也外野手(30)が1日(日本時間2日)、敵地パイレーツ戦に「3番DH」で出場。パ軍の剛腕ポール・スキーンズ投手(22)からの勝ち越し8号ソロをはじめ、今季2度目となる2打席連続アーチを放つなど、4打数2安打3打点1四球と活躍し、逆転勝ちに貢献した。ドジャース大谷をも上回る9本塁打、28打点と各部門でリーグ上位に浮上。地区首位を走るカ軍の中軸として、全開モードに入ってきた。
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ためらうことなく黒バットを振り抜いた。パ軍先発の剛腕スキーンズに対し、ソロ2本で同点に追いついた5回。カウント3-0となっても、常に「グリーンライト(青信号)」の鈴木は、集中力を維持したまま狙い澄ましていた。真ん中高めに浮いた92マイル(約148キロ)のスプリットをジャストミート。左翼席へ勝ち越しの8号ソロ本塁打をたたき込んだ。「すごくいい投手。どんどん振っていかないと結果は出ない。あのカウント(3-0)から唯一の甘い球をしっかり振れたというのが結果につながったと思います」。試合後、地元テレビ局のインタビューでは、快打の要因に積極性を挙げた。
7回には、救援右腕ニコラスから左翼席へ貴重な追加点となる2打席連続の9号2ラン。4月2日以来の1試合2発でリーグトップに1本差と迫った。2本目は「(カウント1-2と)追い込まれていたので、ゾーンを小さくして自分の振れるところだけしっかり振ろうと思った」と、思い切りのいいスイングを振り返った。
難敵を攻略して逆転勝ちを収めたカ軍は、地区首位の座をガッチリとキープ。カウンセル監督は、主砲鈴木の活躍に「彼は強靱(きょうじん)な男だ。美しいスイングをする。以上だ」と上機嫌で称賛した。
2番タッカーと並ぶチームトップタイの28打点は、年間141打点ペース。打率も2割9分5厘と、再び3割の大台が手の届くところまて近づいた。「僕はホームランバッターではないので、1試合2本打てるのは奇跡に近い。忘れずにいてほしい」。剛腕を打ち崩したスラッガーは、力強さを増したスイングをよそに、あくまでも謙虚だった。
▼カブス鈴木の8号(通算63号)はカウント3-0から。昨年7月24日に次いで2本目。日本人で3ボールから打つ選手は珍しく、他には通算175本塁打の松井秀が3本、同232本塁打の大谷が1本あるだけ。鈴木は日本時代も3本打っている。1試合2発は5度目。日本人で複数アーチは大谷の19度(3発含む)、イチロー7度、松井秀6度に次ぐ。
▼鈴木は9本塁打がナ・リーグ2位タイ、28打点が3位タイ、OPS・990(出塁率+長打率)が4位。いずれも大谷(ドジャース)を上回る好成績を残している。