
<ソフトバンク1-6日本ハム>◇30日◇みずほペイペイドーム
日本ハム浅間大基外野手(28)の“フェイク走塁”が試合の流れを決定付けた。3-1の7回無死一、三塁。ソフトバンク内野陣は中間守備で、三塁走者の浅間には「ゴロゴー」のサインが出ていた。打席の清宮幸は強い当たりの一ゴロ。本塁へ向かうはずの浅間はスタートを切りかけたが、やめた。「フェイクというほどではないですけど、行こうとして、すぐ止まった」。この動きに打球を処理した一塁石塚は、浅間のケアをやめて、二塁へ送球。その瞬間に浅間は本塁へスタートを切り、併殺打が完成する中で4点目のホームを踏んだ。
サインに縛られず、状況に応じた冷静な判断が、相手の判断ミスを誘った。浅間はまず「(三本間で)挟まれて、粘ろうかなと思った」という。ただ、打球は強めのゴロ。「相手の動きに合わせて瞬間的に」と、ただ本塁へ突っ込む選択はなくなった。とっさの判断から生まれた一瞬の間が、相手守備をかく乱。5回以降は動いていなかった試合を動かし、大きな次の1点を生んだ。新庄監督も「うまかったね。行かないふりをして…浅間くんは結構、俳優チックなところがあるから、いてくれると助かりますよね」。監督就任以降に鍛えてきた「野球脳」が生きての快勝で4月を締めくくり、笑顔だった。【木下大輔】