
<月刊ハマの番長~シーズン5~:第2回>
DeNA三浦大輔監督(51)が、舞台裏や思いを語る「月刊ハマの番長~シーズン5~」。第2回は開幕20試合を終えて、スタートにつまずいたチームの打開策を語った。取材日は、前日までの5連敗で最下位に沈んでいた25日の広島戦前。指揮官のもどかしい思いや大型連敗中の心持ちとは。取材の7時間後には連敗を止め、気迫のこもった戦いぶりで3連勝へとつなげた。【取材・構成=小早川宗一郎】
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取材は、5連敗を止める7時間前に行われた。三浦監督は「最悪なタイミング」と冗談で和ませつつ、神妙な面持ちで星勘定を数えた。
「ここまで3、4月で6勝12敗2分け…。同一カード3連敗が広島と阪神で2回やられて、中日にも2試合だけどカード全敗。もうちょっと踏ん張りたいところですね。残り約120試合あるからといって楽観視している選手、コーチ、スタッフは誰もいない。みんなもがき苦しんで、打開しようという思いで毎日やっているところです」
打順は日々状態のいい選手を上位打線で起用。開幕から打順が固定されている選手はすでに誰もいない。
「打順はコーチと話しながら毎試合、議論はしています。それを続けていくのが大事だと思います。いろいろなアクションを起こすこと。コミュニケーションとりながら、やりとりを続けて、いろいろな角度から打開策を練っていかないといけない」
村田野手コーチは24日阪神戦前に野手ミーティングで「もっと本気で野球しようぜ」と呼びかけた。気持ちの部分での変化の必要性は指揮官も感じている。
「気持ちだけじゃない部分もありますけど、(元広島の抑えの)津田恒実さんの『弱気は最大の敵』という言葉があるように、まず強い気持ちを持って毎試合臨んでいくこと。みんなやってくれているけど、結果はついてこない。だからみんな苦しんでいる。だからといってキャンプからやってきたことが間違いだったとは思わない。でも何かを変えていかないといけない」
負傷で戦列を離れた主力の存在も痛かった。昨季、首位打者のオースティンが4月上旬に下半身のコンディション不良で離脱。昨年の日本シリーズMVPの桑原も、開幕前最後のオープン戦で死球を受けて右手親指を骨折した。
「痛いか痛くないかって言われたらめちゃくちゃ痛いですよ。経験のある選手、実績のある選手たちですから。アクシデントなのでしょうがないですけど、でも彼らは1日も早くという思いでリハビリやっていますし、今いる選手たちも結果を出して自分のポジションを、という思いでやってくれています。選手たちが持っている力を発揮させてあげられてないのは、責任を感じます」
今季のスローガン「横浜奪首」にはスタートダッシュするという意味も込められていたはずだった。
「どうしたらもっと力を発揮させてやれるのか、常に感じています。力を発揮できれば、去年のポストシーズンのようにできるわけですから。練習の内容、やり方、考え方とかいろいろなアプローチは考えています」
1つの策はファームの有効活用。1軍の出場が限られる選手は、2軍で実戦の中で状態を整えてきてもらう。
「ファームも含めて1つのチームなので。トータル的に考えて、どうしたら1日でも早く選手の状態が上がっていくのか。コーディネーターと話をしながら、この選手は少しファームで預けて立て直してから戻すのもいいんじゃないかとか、そういうやりとりは常にしています。もっともっと活発にやっていければなと思います」
言葉通り26日に森敬斗内野手(23)を出場選手登録抹消し、ファーム調整を命じた。苦境でも手を止めることなく、打開策を模索し続け、5連敗後の3連勝につなげた。