
<西武3-0オリックス>◇26日◇ベルーナドーム
西武長谷川信哉外野手(22)の首に派手な金色ネックレスがかかった。首位オリックス相手に4回、決勝1号3ラン。連敗脱出のお立ち台で「マーベラス!!」と叫んでファンと喜びを共有した。
華やかな顔立ちのスター候補。でも着替えれば苦悩の若者でもある。文句なしの殊勲打でもなお、打率は1割6分2厘だ。「苦しい成績です。苦しかった、というか苦しいです。2軍だと打てるから1軍でも同じようにしたいのに…」。大半のプロ野球選手がぶつかってきた壁だ。
高卒でプロ5年目、独り立ちを決意した。これまでDeNA宮崎、巨人坂本に師事してきたが、あえて1人で自分流を模索する。簡単に打撃フォームが固まるほど、プロの攻めは甘くない。「10打席で見切られることだってあると思う。それとも戦わないといけないので」。見えない敵に自分から苦しむこともある。
西川愛也外野手(25)と1、2番を任されている。開幕時点では打順が逆だった。「今の愛也さんの心理状態、ほんっとによく分かるんです。上位打線だと、固め打ちしないと打率は下がっていくので」。ここに来てバットが冷え込んでいる先輩の苦しさを想像し、表情を苦くする。
華やかな世界でも、日々の大半は下積みだ。「今日良くても明日が大事ですよね」。油断する余裕さえない。昨季は4月21日以降、ずっと6位だった。今季は最下位転落の翌日に5位に浮上。小さな成功の積み重ねが、未来の強い西武につながる。中枢にいるのは、彼ら若獅子世代だ。【金子真仁】