
<明治安田J1:東京3-0G大阪>◇25日◇第12節◇国立
FC東京が終了間際の3得点でガンバ大阪に劇的勝利を収め、9試合ぶりの勝ち点3を獲得した。途中出場のMF俵積田晃太(20)が約70メートル独走ドリブル弾。これを含めた2得点に絡む活躍でチームを勝利に導いた。
0-0の後半17分から出場すると、同41分に見せ場が訪れた。自陣で味方がカットしたボールを左サイドで受けると、スピードに乗ったドリブルを開始。一気に2人を置き去りにし、ペナルティーエリア内まで進入すると、得意のカットインで相手を2人かわした。ゴール右に衝撃のスーパーゴール。普段はクールな男がゴール裏のサポーターに向けて叫び、感情を爆発させた。
「非常に何かうれしい、気持ちのいいゴールでした。(ボールを)もらって前にスペースがあったので、もう自分で行ってやるという気持ちで行きました」
今季は開幕から苦しんだ。出場機会は多く、毎試合ドリブルからチャンスに絡んだものの、なかなか点が入らない。14本もシュートを放って無得点。
「正直、自信もあまりなかったし、シュート打つ時にいろんな感情が湧いてきて、すごくやりづらかった」
負のスパイラルに陥っていた。自身と重なるようにチームも8戦未勝利。心が沈む時期もあった。それでも周りから声をかけられ、支えられた。「みんな能力を認めているから」と先輩から勇気づけられた。
「本当に今までの気持ちが全部吹っ飛んだような感じです。決まった瞬間は『やっと入ったな』みたいな感じで、みんなのおかげで取った1点なので、本当にみんなに感謝しかないです」
口数の少ない俊足アタッカーの表情も明るくなった。松橋力蔵監督からも「俵積田選手の1点が、本当に今まで、何か硬い感じになってしまっていた部分を全部、解きほぐしてくれたような感じに受けました」と評価された。チームに大きな影響を与える一撃となった。
2-0の後半追加タイムには味方との連係からゴール前まで進み、シュート。相手GKの弾いたボールがDFに当たってゴールに吸い込まれた。決定的な3点目。「自分の得点にしてほしいです」と冗談まで飛び出すほど、呪縛から解き放たれた。
国立で3-0快勝。開幕から低空飛行だったチームが、勢いに乗れる勝ち方を収めた。中3日でホーム清水エスパルス戦。「ここから連勝していきたい。満足せずに精進していきたいです」。自信を取り戻して次を見据えた。【佐藤成】