
“オールフロンターレ”で悲願のアジア制覇を目指す。
川崎フロンターレは27日(日本時間28日)から始まるアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)ファイナルズに進出し、22日に開催地のサウジアラビア入りした。同地での集中開催で、準々決勝はアルサド(カタール)と対戦する。勝ち続ければ、決勝まで中2日の過密日程が待っている。チームはマスコットキャラクターのふろん太と選手スタッフ64人で現地入りし、総力戦でアジアの頂点へ向かう。
連戦で重要になるのが食事面のサポートだ。日本代表などにも帯同経験がある平田太圭龍シェフが、22年からアジアの敵地遠征には帯同し、川崎Fの食事サポートをしてきた。今回もチームより早く現地入りし、準備を進めた。アジアでは衛生面から食事を気にする選手もいるという。前日までにキッチンに入って環境を確認するのも大事な仕事だ。慣れない土地で選手たちの摂取量が減ることは避けなければならず、豊富な経験を生かし、食事を提供している。
「(食事は)ビュッフェ形式なんですけども、作り置きを出すのではなくて、なるべく目の前で作って調理を、最後の仕上げをできるように、目と耳と匂いで食欲がわくように出してあげるようにはしています。あとは日本からお酢を持ってきているので、酢の物を入れて疲労回復できるようにという工夫はしていますね。あまり冷たいものだと今度胃が疲れてしまうので、なるべく温かいものをお出しするようにはしています」
今回の宿舎は日本代表として使用したことがあり、調理場のスタッフは知り合いだった。うどんやみそといった日本食が手に入ることも把握済み。Jリーグが手配したチャーター機で食材を多く持ち込めたのもありがたかった。
「(サウジアラビアの)国柄、豚肉とかは使えない。今回は負けたら終わりの一発勝負なので、日本からウナギとか銀ダラとか銀ムツ、サバとホッケも持っていきました。まだ選手には言っていないんですけど、試合の前の日か前々の日にウナギを出して喜んでもらおうかなとは思ってます」
選手たちに好評なのはパスタだという。「毎食昼と夜に大体4種類ぐらいずつは用意するようにはしてます」。DF佐々木旭は、たらこのパスタが好物だと明かした。
クラブへの食のサポートは平田シェフだけにとどまらない。ユニホームパートナーであるエバラ食品から提供商品、「高田フロンターレスマイルシップ」を結ぶ岩手・陸前高田市からも米やノリ、オフィシャルパートバーのマルコメからみそ汁などクラブに関わるさまざまな団体から協力を受けたという。あるスタッフは「サウジアラビアですが、ストレスなく日本と変わらない食事が取れてます」と感謝する。
パートナー企業のツアーも組んでいる。バイクメーカーではなく、サッカーの「KAWASAKI」を世界に広めるチャンス。決勝まで進めばあとから来るメンバーも含めて、70人以上がサウジアラビアに集結する。まさに総力戦。ピッチ内外の本気の取り組みでアジア王者をつかみ取る。