
<ヤクルト3-2巨人>◇20日◇神宮
ヤクルト伊藤琉偉内野手(22)の劇的サヨナラ打で6連敗を阻止した。午後10時。歓喜の輪の中心には、苦労人の笑顔があった。同点の6回に代走で途中出場。延長10回2死二、三塁で打席がまわってきた。狙い球を直球とスライダーに絞り、巨人戸田の2球目スライダーを捉えた。左翼フェンス直撃の一打は、プロ初のサヨナラ打。満員御礼の大歓声の中、ナインから手荒い祝福を受けたヒーローは「今までにない濃い1日でした」と照れた。
この日は午前7時半に起床。昼間の2軍戦で1安打を放ち、神宮に乗り込んだ。8回にはプロ初安打をマーク。「初は神宮で打ちたいと思っていた。本当は1年目で出したかったんですけど」。延長10回には遊撃守備で安打性の打球を好捕と、攻守で活躍した。
群馬県出身。東農大二から大学へ進んだが、中退。独立リーグのBC新潟で1年間プレーした。1人暮らし時代はいつも同じメニューの、カット野菜と肉を炒めたおかずをつくって食べていた。「なんとか1軍に定着したい」。村上、丸山と主力の負傷離脱で巡ってきたチャンス。苦労人らしく、泥くさくアピールを続ける。