
<パイレーツ6-1ナショナルズ>◇17日◇PNCパーク
非常に珍しい、左翼手から一塁手への「レフトゴロ」があった。
パイレーツ-ナショナルズの6回1死一塁、パ軍の5番トミー・ファム外野手が、左翼へライナー性の打球を放った。左翼手ジェームズ・ウッドは、ショートバウンドで捕球。一塁走者のオニール・クルーズはダイレクト捕球と勘違いし、一塁へ戻った。ウッドはすかさず一塁へワンバウンド送球。一塁手前で立ち止まっていた打者走者のファムを一塁で刺した。
一塁手のナサニエル・ローは一塁を踏んだ後、一塁走者のクルーズにタッチしたが、一塁ベース上にいたためセーフとなった。もし、ローが先に一走クルーズにタッチした後、ベースを踏んでいれば併殺になる場面だった。三塁塁審は外野まで足を運び、左翼手の前で打球がワンバウンドしているという意味を示す「セーフ」のジェスチャーをしていた。
左翼ゴロの多くは、打球がハーフライナーなどの場合に、一塁走者が二塁で封殺されるケースで起きる。今回は「左-一」という超レアケース。一塁手のローは、MLBコムに「なんてワイルドなプレーなんだ。面白い。明らかにトラップだったから打者が一塁へ進めなかった。僕らは二塁塁審を見ていて、判定がよく分からなかった。走者を含めて、誰も何が起きているのかよく分かっていなかった」と話した。
左翼手が一塁で打者走者を刺したケースは非常に珍しいが、初ではない。2006年8月、タイガースのショーン・ケーシーが、ホワイトソックス戦で「7-3」の左翼ゴロを記録している。頭上のライナーを遊撃手がはじき、バウンドした球を左翼手が一塁へすぐに送球していた。ケーシーは、遊撃手にライナーを捕球されたと勘違いし、一塁への走塁を中断した。すぐに気が付いて走り直したが、時既に遅しだった。
また、殿堂入りのポール・モリター、ケビン・エルスターも同様の左翼ゴロを記録している。
ちなみに、一塁走者として二塁に進塁せず、一塁に帰塁してしまったクルーズは、汚名返上を果たした。7回に右翼へ3号満塁本塁打。パ軍のリードを6-0と広げ、勝利に大きく貢献した。
日本のプロ野球では、中日の鈴木孝政投手が「中-一」とわたる「センターゴロ」をマークしたことがある。左翼ゴロは、左翼手を内野に入れ、内野5人シフトを敷いた際には何度か登場している。