
日本プロ野球選手会と日本野球機構(NPB)による事務折衝が17日に都内で行われ、選手会は「写真・動画等の撮影および配信・送信規程」の緩和と見直しをあらためて要望した。
約2時間の話し合いを終えた選手会・森忠仁事務局長は「ファンの声をもう少し聞いてもいいんじゃないかなということです。NPB側からは前向きに検討しているという返答があった」と手応えを口にした。同・萱野弁護士は「放映権についての配慮をしなきゃいけないってことは理解してますし、違法な配信者に対する取り締まりについて、選手会としても全く異存ありません。ただ、他のスポーツ等と比べて明らかに野球だけが厳しい、静止画すら認められないというような制度なので、そこについては検討の余地があるんじゃないかいうこと申し上げています」と説明した。
NPBは今年2月に試合観戦契約約款を改定。インプレー中に撮影した選手の写真、動画等を家族や友人など特定の者以外への配信と送信を禁止した。
その中で日本ハムが同規程の第3条第4項「以下の場合はこの限りではない」の1号「主催者が承認した場合」に該当すると解釈し、本拠地エスコンフィールドにおいてファンが球場で撮影した写真や動画を、ライブ中継に準ずる行為でない限りSNS等に投稿することを許容してきた。
だが3月26日にNPBから改善勧告を受け、日本ハム側は4月7日に都内で開催されたプロ野球12球団とNPBによる理事会・実行委員会で「ファンの皆様並びにNPB及び他の11球団の皆様に混乱をお招きしたことをお詫び申し上げます」と謝罪していた。
選手会は9日にホームページ上などで見解を表明。「日本ハムが本規程の文言に基づき、従来通りの運用を行っていた対応は、法的にも自然な解釈であり、ファン目線の柔軟な判断・対応であったと考えています」としていた。
萱野弁護士は「みんなで共通認識を持って、解釈の齟齬が出ないようなルールを作っていれば、こういう問題は起きなかったと思う。解釈の相互が実際に生まれて、改善勧告というような形で強い手段を取って、それが球団側からリリースされるというのは理解できない」とした。
NPB中村事務局長はかねて「このルールは確定ですということではなく。最初の段階で、不確定要素が多いので、まずスタートしてみて、いろんな意見を検討していく」としており、今後は12球団で協議を重ね、運用の見直しを検討していくことになる。