
世界最高峰の舞台で世界一を目指す、日本の侍たち。日刊スポーツでは今季、ドジャース大谷翔平投手はもちろん、日本人メジャーリーガーと彼らにまつわるストーリーを「SAMURAI MLB」と題して、隔週火曜日で紹介する。海を渡って戦う日本人選手たちに、多角的に迫っていく。
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ドジャース大谷翔平投手(30)は、メジャーの長い歴史上、投打の二刀流として、誰も成し遂げられなかった記録を次々と達成してきた。そんな姿に、多くのレジェンドが称賛してきた。一流であるからこそ分かる、一流のすごさ。最高峰の舞台で長年活躍したレジェンドが大谷について口にする言葉には、重みと深みがある。
3月、日本開幕シリーズが行われた東京にレジェンドが集結した。通算630本塁打で16年に米野球殿堂入りした元マリナーズのケン・グリフィー・ジュニア氏(55)、イチロー氏とともに今年殿堂入りを決めた元ヤンキースのCC・サバシア氏(44)、ゴールドグラブ賞10度でブレーブスの球団殿堂入りした元楽天アンドリュー・ジョーンズ氏(47)。それぞれが語る、大谷翔平とは-。【取材構成=斎藤直樹、水次祥子】
■ケン・グリフィー・ジュニア氏
ショウヘイ・オオタニを最初に見たときの第一印象は、まず、体がすごく大きいなということ。そして、彼がいろいろなことに関して、こうしたいということを徹底的に突き詰めていく姿勢が独特だし、興味深かった。
彼に匹敵するような選手は他にいない。よくベーブ・ルースと比べられるが、ルースがプレーしていたのは8~10チームしか存在しない時代だから、今とは状況が違う。ショウヘイと比較できるアスリートは、スポーツ界でもほんの一握り、マイケル・ジョーダンとタイガー・ウッズくらいだろう。彼らはスポーツ界でも揺るぎない存在であり、そんな存在と比べるのがふさわしいと思う。
ショウヘイがメジャーに来てから達成した数々の偉業は、誰も想像さえできなかったほどのものだ。野球でもプライベートでも、多くのアジャストが必要だったと思うが、適応力がとてつもないからこそ、できたことでもある。
■CC・サバシア氏
私がショウヘイ・オオタニについて一番尊敬し、称賛している部分は、投打の二刀流という非常に難しいことを高いレベルで続けていること。そうするためには、想像を絶するほどの多くの時間をトレーニングと準備に費やさなければならない。そのことを、私のようなメジャー経験者は知っている。彼なら再び両方でトップレベルの活躍をすると思う。再びマウンドに戻る姿を見られる日が楽しみだ。
日本には東京ドームの開幕シリーズで初めて訪れたが、オオタニが日本のファンの前でプレーするのは、エキサイティングだった。彼が日本でいかに大きな存在か、あらためて実感したよ。
■アンドリュー・ジョーンズ氏
ショウヘイ・オオタニは常に大きな期待をかけられている選手。今季もこれまで示してきた通りの能力を発揮し、同じレベルで数字を積み上げれば、また素晴らしいシーズンが送れるだろうし、今後、何年もそれを続けていけると思う。違う国から来た選手が米国でそこまでの成功をするということは本当に大変だし、特別なこと。彼は本塁打も打つし、何でもできる。投手として復帰したらどうなるかは分からないが、今後、ケガを避けて活躍を続けたら、どこまで数字を積み上げるのか、興味深く見ている。
<大谷の主な偉業>
◆史上初の2年連続2桁本塁打&2桁勝利(22年、23年)
◆本塁打王と打点王の2冠(24年)
◆23年WBCでMVPに選出
◆ア・リーグMVP(21年、23年)ナ・リーグMVP(24年、いずれも満票、複数の満票選出は史上初)
◆新人王(18年)
◆シルバースラッガー賞(21年、23年、24年)
◆ア(23年)ナ(24年)両リーグで本塁打王
◆エドガー・マルティネス賞(21~24年)
◆前人未到の50本塁打、50盗塁(24年)
◆ハンク・アーロン賞(23年、24年)
◆オールMLBファーストチーム選出(21~24年)