
<カブス3-1パドレス>◇4日(日本時間5日)◇リグリーフィールド
侍がシカゴで鎧(よろい)を授かった。カブス今永昇太投手(31)が4日(日本時間5日)、シカゴ・リグリーフィールドでの本拠地開幕戦に2年連続で先発。ここまで開幕7連勝中だったパドレスを相手に、自己最長の7回1/3を4安打無四球4三振1失点と好投し、今季2勝目を挙げた。「投げる哲学者」の異名を持つ左腕が、独特の「今永節」で熱狂的ファンの後押しに感謝した。
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シカゴの緯度は、日本なら北海道の函館市に相当する。カブスの本拠地リグリーフィールドは、気温6・7度、風速14・5メートルの極寒に包まれていた。メジャー2年目を迎えた今永は「もう少し強く風が吹いていると肌寒く感じるけど。今日ぐらいなら特に寒さを感じなかった」と答えた。
なぜか。「ブルペンに向かう時もすごい大歓声をくれました。この伝統あるユニホームを着てますけど、あの歓声は、もう1枚鎧(よろい)を着たような気分にさせてくれる」。3月18日の日本開幕から17日が過ぎ、10試合目にして待ちに待った本拠地開幕。ファンの熱気が「投げる哲学者」の心身を包んでいた。
ここまで開幕7連勝の強力パドレス打線に、独特の思考法で対した。「怖いと思うのが普通だけど『もうそんなにヒット出ないでしょ』というもう1つの極端な考え方を持った方が、メンタルのバランスがすごくいい」。得意とする伸びのある高回転の直球を軸に据えた。「球速の割には打者を差し込める自信はあった。うまくごまかしながらの回と、ある程度力で押していく回のメリハリをつけられた」。直球の最速は149キロとメジャーでは速くはないが、丁寧に高めを突いた。チェンジアップ、スライダーを低めに集めた。今季初の無四球。ストライク率は75%に達した。
8回1死を迎え、91球で交代した。ベンチに戻る際、好投をねぎらう満員の4万244人の観客からスタンディングオベーションを受けた。「以前、この歓声をアラームにすることができたら、きっと寝起きもいいんじゃないかという話をここでしましたけど、それは大きな間違いだなと今日気付いた。きっとこの大歓声を聞いたら、ずっと聞いていたいから、球場に遅刻してくると思う」。ハートウォーミングな今永節で、寒いシカゴに球春到来を告げた。
▽カブス・クローアームストロング(2回、左中間の打球をフェンスに激突しながら好捕。今永の好投に)「ショウタはショウタがやるべきことをやった」
▼カブス今永が2年連続ホーム開幕戦で勝利投手に。球団では88、89年サトクリフ以来36年ぶり。これで開幕3試合で18回1/3を投げ、被安打はわずか7。球団で開幕から3先発では1952年ラムズデルの6に次ぎ、1914年ボーン、2020年レスターに並ぶ最少2位タイ。昨年から本拠地リグリーフィールドでは8勝2敗と勝率8割。同球場で最初の17先発でチームが14勝は45年以降、ウッド、キンタナ、サトクリフらに並ぶ2位タイ。