
【シカゴ(米イリノイ州)27日(日本時間28日)=四竈衛】メジャー7年目で初の開幕投手を任されたエンゼルス菊池雄星投手(33)が敵地でのホワイトソックス戦に先発。6回3失点と粘ったものの、打線の援護もなく、今季初黒星を喫した。2回先頭のソロ本塁打と詰まった当たりの二塁打などで3点を献上した。それでも、その後は6回まで1人の走者も許さず、適時打以降、13打者連続凡退。力強く締めくくり、クオリティースタート(6回自責3以内)をクリアした。
たとえ失点しても、崩れない力強さを身に付けていた。序盤、速球とスライダーに偏り過ぎた配球を反省する一方、3回以降は新たな引き出しを開け、攻めに徹した。オフに取り組んできたシンカー気味に沈む高速チェンジアップ、横滑りのスイーパーを織り交ぜた組み立てで、ホ軍打線の的を外した。球威だけに頼らない、硬軟を生かした新境地。菊池にとっても、指先に残る感触は上々だった。
「何とか6回まで試合を作れた。初戦にしては収穫も多い、次につながる試合だったと思います」
ワシントン監督も「すばらしかった。(適時打は)打ち取った当たりで、野球にはあること。雄星は雄星だった」と、黒星発進をよそに賛辞の言葉を並べた。
メジャー移籍以来、投球フォームの細部などに目を配り、常に結果を求め続けてきた。だが、体力、技術とも不安材料が消えた今、投手陣の軸となった菊池が、目の前の成績だけにこだわるつもりはない。
「正直に言うと、(年間)32試合投げることの方が今日1試合よりも大事。1年間を通して10月にどういう数字が残っているかが最も大事だと思います」
模索期から円熟期へ-。悔しさよりも手応えが残る菊池の87球は、黒星の重苦しさとは無縁だった。