初の開幕投手を務める阪神村上頌樹投手(26)が、リベンジを決めて好発進する。舞台は昨年9月27日の広島戦で末包にサヨナラ打を浴びたマツダスタジアム。巨人の優勝マジックを1に減らし、球団初の連覇を絶望的にして以来、182日ぶりの敵地マウンドに上がる。「自分のせいで負けた」と流した悔し涙は忘れていない。その無念を絶好の舞台で晴らす時がきた。
「そこで抑えられれば、いいスタートが切れると思うし、自分としてもチームとしても乗れる」
この日のマツダスタジアムは練習途中から大粒の雨が降った。体をぬらしながらキャッチボールやダッシュなどで調整したが、気負いはなかった。「(あの時は)優勝がかかっていた試合で1つも落とせない状態でしたが、今回はリセットされてまた一から。フレッシュな気持ちでいける」。
球団の生え抜き投手が初めて開幕投手を務めると02年の井川慶以降、チームは5試合連続勝利。背番号41もその流れに乗りたい。藤川タイガースのシーズン初勝利がかかる重要な一戦。「チームに1勝目がつくように、そこを目指してやりたい」と引き締めた。
オリックスと阪神で開幕投手の経験がある西勇からはアドバイスをもらった。「緊張した、特別、そこを楽しんだと言っていた。自分も楽しみながら投げられたらいい」。昨秋涙にくれたマウンドで楽しめれば、最高の結果もついてくる。
プロ4年間の広島戦の通算白星は4個で7敗は球団別ワースト、防御率は2・81。マツダスタジアムに限れば白星1個で4敗も球場別ワースト、同4・45とさらに相性は悪くなる。だが鬼門を過去のものとすべく、リベンジ勝利ですべてを振り払う。「後ろに本当にいいピッチャー陣がいるので、そこにつなげられるようにしたい」。先発快投で、藤川監督にウイニングボールを届ける。【塚本光】
◆昨秋の村上の悔し涙 残り5試合首位巨人を2差で追っていたシーズン最終盤の9月27日広島戦(マツダスタジアム)。負けが許されない戦いで、岡田監督が前年のMVP右腕に545日ぶりの救援登板を託した。2-2同点の延長11回に6番手で登板。その回は無失点に抑えたが、続く12回に1死二塁のピンチを招き、末包に右越えのサヨナラ二塁打を浴びた。首位巨人の優勝マジックは1に減り、岡田阪神のアレンパは風前のともしびに。巨人は翌日28日に優勝を決めた。